「制度対応」とは何か?電子化を進める企業が直面する壁(前半)
「電子化しただけ」では、制度は守れない
多くの企業で、業務の電子化が進んでいます。
経費精算・出張申請・契約稟議などの紙書類は、次々とWebフォームに置き換えられ、業務スピードや確認のしやすさという点では大きな成果が見られます。
しかし一方で、以下のような声も現場から聞こえてきます。
- 「承認済みの申請が、どこに保存されているのか分からない」
- 「書類はPDFで出せるが、保存期間や廃棄のルールがバラバラ」
- 「電子帳簿保存法に対応していると思っていたが、監査で指摘を受けた」
こうしたケースに共通しているのは、「電子化=制度対応」という誤解です。
重要なのは、記録が“電子であること”ではなく、“制度として有効な記録であること”です。
電子帳簿保存法・e文書法は「条件を満たせば紙をやめられるルール」
電子帳簿保存法やe文書法は、義務というよりも電子化を進めるための“制度的な許可と条件”を定めた法律です。
紙で保管していた文書を、電子でも保管できるようにする代わりに、その電子記録が「正しく残っている」「改ざんされていない」「検索できる」ことを求める。
これが、これらの法令が目指す制度設計の本質です。
よくある誤解 | 正しい理解 |
電子帳簿保存法は「新しい義務」である | 電子化を認める代わりに「最低限の保存要件」を定めたもの |
法対応は面倒で負担だ | 電子化を本気で進めるなら“最初に考えるべき前提条件” |
つまり、「電子帳簿保存法/e文書法=足かせ」ではなく、「制度として成立する電子化のためのガイドライン」と捉えるべきです。
紙運用をやめるには、制度として“電子であること”が証明できなければならない
電子化された記録が、法的にも監査上も有効であるためには、次のような視点が重要です。
記録の存在証明 | 管理ルール | 廃棄処理 | |
紙での保存 | 押印・筆跡・紙そのものの物理性 | 物理キャビネットや管理台帳 | 物理焼却・処分時に証明書を取得 |
電子保存で求められる要件 | タイムスタンプ・ログ・ファイル改ざん防止機能など | 台帳機能 保存期間の自動管理 権限・アクセス制御 | 電子廃棄フロー+廃棄ログ 証明の保全体制 |
このように、制度としての“証拠性”を電子で再現するには、システム側の仕組みが不可欠なのです。
「電子化のつもり」で進めた結果、制度が崩れることもある
電子化を前提にワークフローを導入したにもかかわらず、制度的に破綻してしまったという例は少なくありません。
その多くは、「電子化=PDF化」「電子化=フォーム申請の実装」という表面的な導入にとどまってしまったことが原因です。
典型的な制度崩壊のパターン | 問題の本質 |
PDFはあるが、保存期限や廃棄ルールが明記されていない | 文書が“記録資産”として管理されていない |
フォーム申請が導入されているが、承認履歴や操作ログが残っていない | 証拠としての制度的正当性が担保されていない |
申請は電子化されたが、出力・保管は紙で運用され続けている | 電子保存の制度条件を満たしていないため、法的には紙保存が前提に戻ってしまう |
制度対応とは、こうした“電子化の落とし穴”を避けるために、あらかじめ満たすべき前提条件を明文化してくれている存在とも言えます。
制度対応=「証拠として残る仕組み」を持つこと
電子帳簿保存法もe文書法も、最終的に見ているのは、「この電子記録は本当に正しい記録か?」という一点です。
制度対応とは、「誰が、いつ、どんな理由で承認し、どう保存され、どう廃棄されたか」まですべてが説明可能な状態で記録されていること
そしてそれは、単なる“IT導入”ではなく、制度としての再設計が必要な領域なのです。
ジュガールは「制度的な電子化」を実現する前提を備えている
たとえば、ジュガールでは以下のような制度対応の基盤を標準で備えています。
- 経費精算では電子帳簿保存法に完全準拠(JIIMA認証取得済み)
- 承認フロー・保存期間・廃棄プロセスまで制度として設計可能
- 文書の改ざん防止(ロック)・閲覧ログ・保存期間別アクセス制御などをワークフローと連携済
- これにより、「申請された書類」=「法的に証明可能な記録」へと昇格させることができる
まとめ
- 電子化とは、「便利になること」ではなく、「制度として記録が残せること」
- 電子帳簿保存法・e文書法は、制度運用の前提条件を示した“電子化の設計ガイドライン”である
- 制度対応の本質は、「誰が、何を、どう判断し、それが正しく記録されたか」が証明できる構造を持つこと
- ジュガールはその構造を“最初から備えた制度設計済のワークフロー”として、安心して電子化を進められる環境を提供している
電子帳簿保存法に求められる6つのシステム要件
~「電子化してもよい」ための、制度的な前提条件~
電子帳簿保存法は「義務」ではなく「許可条件」
電子帳簿保存法(以下、電帳法)は、紙での保存が前提だった帳簿・書類を電子保存でも認めるために設けられた法律です。
しばしば「対応が面倒」「義務が増えた」と受け止められがちですが、正しくは、紙でなくても構わない。ただし、電子なら「この条件を満たしてね」という位置づけです。
つまり、電子化を行う際の“制度上の入口条件”を定めたものであり、導入障壁ではなく制度の整備指針と捉えるべき法律です。
対象となる文書の範囲
電帳法の対象は、主に税務上の帳簿・書類です。以下の3区分に分類されます。
国税関係帳簿 | 国税関係書類 (決算関係) | 国税関係書類 (取引関係) | |
対象文書 | 会計帳簿・現金出納帳・売上帳など | 決算関係の証憑書類 | 取引証憑としての書類 |
代表例 | 仕訳帳、総勘定元帳など | 決算報告書、棚卸表、勘定科目明細書など | 請求書、領収書、見積書、契約書など |
企業の日常業務で多く該当するのは、3番目の「取引関係書類」であり、経費精算・支払申請・発注業務・契約文書などが含まれます。
対応すべきは「6つのシステム要件」
電帳法に対応した電子保存を行うには、次の6つの技術的要件を満たす必要があります。
1.真正性の確保 | 改ざんや削除がされていないことを証明できる構造 |
2.可視性の確保 | 画面上で明瞭に閲覧できること 印刷可能なこと |
3.検索性の確保 | 必要な帳票を項目別・条件別に即時検索できること |
4.保存性の確保 | 所定の保存期間中、文書が破損・消失せずに保管されていること |
5.改ざん防止機能 | WORM(追記のみ記録)や電子署名などの改ざん防止技術を搭載 |
6.操作ログの記録 | 誰が、いつ、どの文書にアクセス・操作したかが記録されていること |
これらの要件は単なる「システムスペック」ではなく、制度としての信頼性を担保するための機能群です。
要件① 真正性の確保(改ざんできないこと)
- 意味: 電子的に保存した書類が、後から勝手に削除・修正されないことを保証する
- 技術的対応例
- タイムスタンプの付与(申請完了時)
- ファイルのロック機能(編集不可)
- WORM(Write Once Read Many)対応ストレージ
ジュガールでは、申請完了時にファイルをロックし、以降の編集・削除は不可能な状態に。変更履歴も操作ログで自動記録。
要件② 可視性の確保(いつでも画面で見られる)
- 意味: 閲覧権限のある人が、文書の内容を常に画面上で確認・印刷できる状態であること
- 技術的対応例
- PDFや画像形式での保存
- モバイル・PC双方での閲覧対応
- 出力(印刷)機能の提供
ジュガールでは、保存された書類はスマホ・PC両方からアクセス可能。PDF形式での保存・出力も対応。
要件③ 検索性の確保(すぐに探せる)
- 意味: 日付・取引先・金額などの項目で即座に文書を抽出できること
- 技術的対応例
- メタデータの自動付与(申請時)
- フィルタ・タグ検索機能
- フォルダ分類や一覧表示の整備
ジュガールでは、日付・種別・所属部門・金額などの項目で即時検索が可能。検索条件の保存や一覧ビュー機能も搭載。
要件④:保存性の確保(長期間残せる)
- 意味: 7年・10年などの法定保存期間中、確実に文書が保管されること
- 技術的対応例
- 自動保存期間の設定
- 削除不可フラグの設定
- セキュアなクラウドストレージへの保存
ジュガールでは、書類種別ごとに保存年数を設定。保存期間中は削除できない構造により、運用ミスを防止。
要件⑤ 改ざん防止機能(書き換えできない)
- 意味: 電子的に保存された記録が、後から意図的に修正できない構造になっていること
- 技術的対応例
- 編集不可のファイル形式(PDF)
- ロック・権限管理
- 電子署名やハッシュ値によるファイル認証
ジュガールでは、承認完了後の文書は全自動で編集不可に。管理権限でも削除不可な設定も可能。
要件⑥ 操作ログの記録(誰が何をしたか残る)
- 意味: 文書へのアクセス・操作・出力など、すべての操作が記録されていること
- 技術的対応例
- 閲覧・編集・出力のログ記録
- IPアドレス・時間の記録
- ログのダウンロード・監査出力対応
ジュガールでは、申請/承認/閲覧/出力といった各種操作をすべて記録。ログは検索・出力にも対応し、監査時の証跡として活用可能。
ジュガール経費精算はJIIMA認証済み。制度的な安心を支える製品基盤
ジュガールの経費精算機能は、電子帳簿保存法対応ソフトの認証団体である「JIIMA(公益社団法人日本文書情報マネジメント協会)」の認証を取得しています。
これは、6つの要件すべてを満たし、制度的な電子保存が実行できる製品であることを第三者が保証していることを意味します。
- 認証済であることで、監査法人や税務署に対しての説明力が大幅に向上
- 企業としても、「法対応ができていること」を外部に提示できる
- システム選定時の“安心材料”としても大きな効果を発揮
まとめ
- 電子帳簿保存法は、「電子化の自由化」と「制度の信頼性確保」を両立するためのルール
- 対応には6つの要件(真正性・可視性・検索性・保存性・改ざん防止・操作ログ)が求められる
- ジュガール経費精算では、これらすべてをシステムで実装し、JIIMA認証を通じて制度対応の正当性を証明している
e文書法が求める“制度化された文書管理”の考え方
~「承認された文書」が制度上の記録として成立するために~
e文書法は、企業の“内部文書”に対して求められるルールである
電子帳簿保存法が主に税務署への提出を前提とした文書(領収書・請求書など)を対象にしているのに対し、e文書法(正式名称:民間事業者等が行う書類の電子保存に関する法律)は、企業内で作成・運用される社内文書や契約文書に対して適用される法律です。
たとえば、以下のような文書がe文書法の対象になります。
稟議書 | 決裁文書 | 契約文書 | 報告書 |
---|---|---|---|
申請内容 判断理由 承認ルート 合議内容など | 取締役会・経営会議などでの判断記録 決裁ログ | 電子署名付きPDF契約書 基本契約 覚書等 | 日報 出張報告 成果報告など、 業務判断の記録 |
これらの文書は、企業内での意思決定や業務の実行を裏づける“公式記録”としての効力を持ちます。
問われているのは「電子保存できるか」ではなく「制度として保存されているか」
e文書法では、「電子ファイルとして残っている」だけでは不十分です。
制度として、記録・管理・保存・廃棄が整備されていることが求められます。
具体的には、以下のような構造が要求されます。
記録性 | 誰が、いつ、どう判断したかが明確に記録されていること |
保存性 | 書類が規程に基づいて保存されており、削除されないこと |
改ざん防止 | 判断後の文書が後から編集・書き換えされないこと |
可視性 | 必要なときに正しいバージョンを即座に確認できること |
このように、「承認済みの文書を電子で残す」という表面的な対応ではなく、
制度に則って“記録として成り立つ構造”があるかどうかが、e文書法の本質なのです。
ワークフローと文書管理が“分離”していることで起きる制度的リスク
多くの企業では、申請・承認はワークフローシステムで行われていても、その後の文書管理(保存・廃棄・検索)は別のファイルサーバや文書管理システム(DMS)で処理されています。
このような“分離構成”では、以下のような制度的リスクが発生します。
- 保存期間が適切に設定されていない
→申請書類が必要以上に長く残ったり、期限前に削除されたりする可能性がある
- 廃棄ルールが部門や担当者によって異なる
→文書の削除・残存の基準が統一されず、監査指摘の原因になる
- 承認された文書の改ざん・差し替えが可能
→文書保存がワークフローと連動しておらず、検証手段がない
- 誰が、いつ、どの文書を見たかが分からない
→閲覧ログが記録されておらず、漏洩・情報改ざんリスクが高まる
こうした構造は、「電子化されているのに制度上はグレー」という状態を生み出し、e文書法の求める制度としての保存性・記録性・可視性が満たされなくなります。
ジュガールは、ワークフローと文書管理を“制度の中で”一体化している
ジュガールでは、ワークフローと文書管理が切り離されていません。
すべての承認プロセス・文書保存・台帳登録・廃棄処理までが制度構造としてひとつの設計の中に統合されています。
これにより、e文書法が求める「電子文書の証拠力」を、システム的に担保できる構造となっています。
【ジュガールにおけるe文書法対応機能】
記録性 | 承認ルート、判断理由、申請者情報、処理時刻などを自動記録(タイムスタンプ・ログ管理) |
保存性 | 保存年数の自動設定、削除不可期間の制御、台帳・一覧表示による統一管理 |
改ざん防止 | 承認後の文書ロック、PDF保存、アクセス権による編集制限、操作履歴の保全 |
可視性 | 台帳画面からの検索、文書プレビュー、アクセス制御付きの文書共有 |
e文書法対応は、ワークフロー設計の“要件”である
制度的な電子保存が必要なのは、請求書や領収書のような“外部提出書類”だけではありません。
むしろ、社内で日々発行されている決裁・報告・申請の文書群こそが、企業の判断履歴を支える基盤です。
そのためには、次のような設計思想が不可欠です。
- ワークフロー完了時に、自動で保存管理へと接続される構造
- 管理台帳の一元化と、検索性・可視性の担保
- 操作ログ・改ざん防止・廃棄記録の制度化
e文書法対応とは、単に“保存している”ことではなく、制度として保存されていること。
この視点に立てば、ワークフローシステムの選定時にも、制度構造を内包した製品であるかどうかが非常に重要になります。
まとめ
- e文書法は、企業内部で作成・承認される文書を「電子で保管する際の制度的要件」を定めた法律
- ワークフローと文書管理が分離していると、保存・廃棄・記録・改ざん防止といった要件が満たせなくなる
- ジュガールでは、申請・承認・保存・廃棄のすべてが制度設計の中で統合されており、e文書法が求める「制度としての保存性」をシステムレベルで実現している
経費精算だけでは不十分?ワークフロー全体を制度化する必要性
~申請が電子化されても、「制度としての記録」が残らなければ意味がない~
経費精算は「入口の一部」にすぎない
電子帳簿保存法への対応を進める企業の多くが、まず着手するのが経費精算領域です。
領収書の電子保存や、支払明細の自動記録などが比較的明快であるため、対応のハードルが低いという事情もあります。
しかし、制度的な電子化を本気で実現しようとするなら、経費精算「だけ」では足りません。
実際には、以下のような領域も同様に「制度的に証拠を残す必要のある文書群」に該当します。
稟議・決裁 | 契約・発注 | 出張・交通費申請 | 日報・報告書 |
---|---|---|---|
誰がどの判断をしたか 予算の正当性 リスク承知などの記録 | 法的拘束力のある判断と手続き 取引条件の合意文書 | 支出内容の正当性 目的の明確化 移動手段の証明 | 業務の進捗、問題点、成果などの実務判断の記録 |
これらの文書は、会計処理の証憑ではないため、経費精算システムではカバーできません。
それでも、企業内部の監査・訴訟・ガバナンス体制の中では、明確な証拠能力が求められる記録です。
「決裁は通ったが記録が残っていない」という矛盾
経費以外の文書が制度化されていないと、次のような問題が発生します。
- 承認済み文書の保存ルールが曖昧
保存期間や台帳登録が担当者任せで、証拠性に欠ける
- 決裁された内容が後から変更可能
文書ロックやアクセス制限がなく、改ざんリスクが高い
- 記録が紙とPDFで混在
監査時に過去の判断履歴が抽出しにくく、証明に時間がかかる
このような状況では、「電子化はしているが、制度としては成立していない」という矛盾が生じます。
全社のワークフローが「制度構造の中にある」状態を目指すべき
制度対応とは、「一部がデジタル化されていればよい」ものではありません。
むしろ、社内のすべての業務判断が、“制度として一貫して設計されているか”が問われます。
必要なのは、次のような「制度の全体設計」です。
- 各種文書に共通した保存期間の設定と削除ルール
- すべての申請・承認履歴を台帳化し、検索・抽出可能にする仕組み
- 承認後の書類をPDF形式でロックし、ログとともに保存する仕組み
- 契約・稟議・報告・精算がバラバラではなく連携された記録構造にあること
ジュガールは経費精算だけでなく、通常のワークフロー領域も「制度対応済み」
ジュガールでは、電子帳簿保存法に対応した経費精算領域(JIIMA認証取得済み)に加え、通常のワークフロー領域(稟議、契約、出張、日報など)についても、以下のように制度対応を実現しています。
【ジュガールの対応】
承認履歴の保存 | 誰が、いつ、どの条件で判断したかをログ・台帳で保存 |
保存期間と廃棄制御 | 書類ごとに保存年数を設定し、廃棄はプロセス化 |
文書ロック・改ざん防止 | 承認後のファイルは自動でロックされ、編集不可に |
台帳・検索機能 | 種別・日付・申請者・承認者などで検索・出力が可能 |
まとめ
- 経費精算の電子化はあくまで“スタート地点”。制度対応を語るなら、社内すべてのワークフローが対象であるべき
- 稟議・契約・出張・日報などがバラバラに管理されていては、制度構造が崩れる
- ジュガールは、経費精算にとどまらず、あらゆる業務文書を制度設計の中に取り込む“全社対応型”ワークフロー基盤として、真の電子化を実現している
法的要件への対応は、システム選定時に“組み込まれているか”がカギ(前半)
~チェックリストではなく、“制度の土台”として見るべきポイント~
「法対応しています」の言葉に、どこまで信頼できるか?
多くのワークフローシステムや経費精算ツールでは、「電子帳簿保存法対応」「e文書法対応」といった謳い文句が前面に出されています。
しかし、その実態を詳しく見ると、要件の一部のみを満たしていたり、運用任せになっていることも少なくありません。
【よくある“表面的な対応”の例】
「PDF保存できます」 | ただのファイル保存。保存期間や削除制御はユーザー任せ |
「ログ機能あり」 | 一部操作のみの記録。閲覧・印刷・削除履歴までは管理されていない |
「検索できます」 | フォルダ構造に依存。日付・金額・種別などの検索条件が設定できない |
「法対応済」 | 経費精算だけは対応。稟議や契約文書の保存は制度化されていない |
このような構造では、「制度を守るための仕組み」にはなり得ません。
システムを選ぶ際には、「その機能が単体で存在しているか」ではなく、制度的に“運用される構造になっているか”を見極める必要があります。
ポイントは「機能」ではなく「仕組みとして機能しているか」
チェックリストに✓がつくことと、実際に制度として運用できるかはまったく別物です。
たとえば「保存期間を設定できます」と書かれていても、それが以下のような実装では意味を持ちません。
- 初期値が空欄/自由入力で統制されていない
- 保存期間を過ぎても自動的に廃棄されない
- 廃棄後の証跡(ログ・証明書など)が残らない
- 書類の種類によって保存期間が変えられない
本当に必要なのは、「保存期間を設定できる機能」ではなく、「保存期間に基づいて文書を制度的に管理できる構造」です。
制度対応で見るべき「構造としての必須チェックポイント」
ワークフローや文書管理システムを選定する際、以下のような項目が制度構造として備わっているかどうかが極めて重要です。
項目 | 必須要件 | 見極めポイント |
保存期間の管理 | 書類種別ごとの年数設定 (例:稟議7年) | 自動で削除制御がかかるか 人の操作に依存しないか |
廃棄フロー | 保存期限後の廃棄手続きと記録 | 廃棄依頼→承認→実行→証明書発行までプロセス化されているか |
閲覧制限 | 部門・役職別に文書アクセスを制御できるか | 承認済み書類が誰でも見られる状態になっていないか |
改ざん防止 | 編集不可のPDF化 ファイルロック | 承認後に勝手に編集できてしまう構造になっていないか |
操作ログ | 閲覧/出力/削除などすべての操作履歴の保存 | ログの改ざんができない 検索・出力対応しているか |
ジュガールでは「制度対応」が構造に組み込まれている
ジュガールは、こうした法的要件を「あとから対応する機能」ではなく、制度の運用に不可欠な構造として最初から組み込んでいます。
【主な対応例】
- 書類の種類別に保存期間を自動設定し、期間内は削除不可
- 保存期限後は「廃棄申請 → 承認 → 実行 → 廃棄ログ保存」のプロセスを踏む設計
- ファイルはPDF保存後にロック、誰も編集できない状態で台帳に保管
- 閲覧・出力・削除など、あらゆる操作に対してログを自動記録
- 部門・役職・申請種別ごとにアクセス制限が可能で、内部統制を制度として担保
制度対応とは「外から貼る機能」ではなく「中から守る仕組み」
最後に、制度対応の本質を確認しておきましょう。
本当に信頼されるシステムとは、単に機能があることではなく、制度を運用できる構造になっていること
制度対応を実現するためには、「機能の有無」ではなく、その機能が“使われるべき形”で設計されているかが重要です。
そして、そうした制度構造を「ワークフローの中に最初から備えている」のが、ジュガールの強みです。
まとめ
- システムが法対応しているかどうかは、「チェックリストを満たす」だけでは不十分
- 本当に問うべきは、「制度の運用に耐えうる構造かどうか」
- ジュガールは、保存期間・廃棄処理・ログ管理・改ざん防止などを制度設計の一部として備えており、“後付け不要”の制度運用が可能
ジュガールが提供する「制度対応済の電子化環境」(前半)
~電子化して終わりではない。“制度として残せる仕組み”を最初から備える~
電子化は「ツール導入」ではなく、「制度設計」である
電子帳簿保存法やe文書法への対応を進める上で、多くの企業が直面するのは、次のような現実です。
- 電子化はしたが、保存期間の管理がバラバラ
- 書類はPDFで出力できるが、廃棄ログが残らない
- 経費精算は対応済みだが、稟議書や契約書の制度対応が後回し
このような状態では、電子化された文書は「便利なだけのファイル」であり、制度上の“証拠”にはなりません。
ジュガールは、そうした“穴のある電子化”を防ぐために、制度の運用に必要な機能・ルール・フローをシステムの中にあらかじめ組み込んでいます。
ジュガール経費精算:電子帳簿保存法に完全対応(JIIMA認証済)
まず、ジュガールの経費精算領域では、電子帳簿保存法の6要件すべてに対応し、JIIMA認証も取得済みです。
【対応機能】
改ざん防止 | 承認完了後のPDFを自動でロック ファイル変更不可状態で保存 |
タイムスタンプ | 承認時点で付与 |
保存期間管理 | 種別ごとに保存年数を設定 削除不可期間の制御 |
検索性 | 金額・日付・支払先などで検索可能 条件保存にも対応 |
出力・閲覧 | PC・スマホ両対応 印刷可能なPDFを即時出力 |
操作ログ | 承認・出力・閲覧など全操作をログに記録 監査出力可 |
この設計により、「ただの経費申請システム」ではなく、「制度的に証拠力のある電子記録環境」として運用できます。
経費精算だけではない。「制度として残る記録」は全社に必要
ジュガールでは、経費精算に限らず、稟議書・契約書・出張申請・報告書など、あらゆる社内文書を制度的に扱える構造が整っています。
特に電子帳簿保存法だけでなく、e文書法への対応を前提に設計されており、「記録が残る」のではなく「制度として残せる」ことが最大の特長です。
通常のワークフロー領域で制度対応が必要な理由
稟議書 | 契約書の決裁文書 | 出張・交通費申請 | 報告書・日報 |
---|---|---|---|
承認ルートの証明 判断理由の記録 保存期間管理 | 契約発生の社内判断記録 関連ファイルの一体保存 | 経路・手段・日数・費用の妥当性の説明力確保 | 業務プロセス・判断傾向の記録と証跡性の担保 |
これらの文書は、企業の判断履歴・業務根拠となる重要情報であり、
単なるワークフロー処理ではなく、制度として保存・廃棄・証明されなければなりません。
ジュガールの通常ワークフローにおける制度対応の主な仕組み
保存期間の自動管理 | 書類種別ごとに保存年数を設定 削除不可期間中は操作ロック |
文書台帳の整備 | すべての文書を一覧・検索可能な台帳として自動登録 検索条件もカスタマイズ可 |
廃棄フローの制度化 | 保存期限後の文書を、申請→承認→実行のプロセスで廃棄 履歴はログとして保存 |
PDF出力・文書ロック | 承認後に自動でPDF化→編集不可に ロック機能で改ざん防止 |
ログの保存と監査対応 | 閲覧/出力/削除などの操作をすべて記録 監査出力も対応可 |
ジュガールの設計思想は、「制度と業務を分けない」
ジュガールでは、「業務を進める」ための申請フローと、「制度を守る」ための文書管理を分離せず、
ワークフローの中に法的要件・証跡・保存制御といった“制度のルール”をあらかじめ組み込んでいます。
「制度対応」だから追加機能が必要、ではなく、
「制度対応」は最初から設計に含まれている(電子化にあたっての必要要件)
これにより、ユーザーは「制度を意識しなくても、制度を守れる」環境で業務を進めることができます。
まとめ
- ジュガールは、経費精算において電子帳簿保存法の6要件すべてに対応し、JIIMA認証済の制度対応基盤を提供
- さらに、通常のワークフロー(稟議・契約・報告等)にも保存・廃棄・ログ・ロックといった制度的機能を内包
- 「制度を守る」のではなく、「制度を破らないように設計された仕組み」を提供するのがジュガールの最大の価値
まとめ 電子化とは、“制度として残せる記録”をつくること
~電子化の本質は、証拠と証明を制度として残すことにある~
「電子化」は、制度的に意味を持つ記録を残せてこそ意味がある
申請や決裁をWeb化したり、書類をPDFで保存したりと、業務の電子化そのものは多くの企業で進展しています。
しかし、その電子記録が制度として有効な「証拠」になっているかと問われると、多くの組織ではまだ課題が残ります。
- 保存期間の設定がない
- 編集・削除が自由にできてしまう
- 誰がいつ操作したかの記録が残っていない
- そもそも、紙と電子が混在し、統制が取れていない
このような状態では、いくら電子化が進んでいても、制度的には「記録が残っていない」のと同じです。
制度対応とは、「運用していれば守られる仕組み」を設計すること
電子帳簿保存法やe文書法の本質は、「こうしなければならない」という義務を課すものではありません。
むしろ、企業が紙をやめて電子化を進めるときに、“証拠としての記録”を残すための最低条件を示したガイドラインです。
制度対応=「制度を守ろうとしなくても、自然に制度どおりになる」仕組みをつくること
そのためには、後付けのチェックリスト対応ではなく、
制度設計を前提にしたワークフロー構築・文書管理が必要不可欠です。
ジュガールは、「制度として記録を残す」電子化の本流を担う
本章を通じて示してきたとおり、ジュガールは単なる申請ツールではありません。
電子帳簿保存法における経費精算の完全対応(JIIMA認証)はもちろんのこと、通常のワークフロー領域(稟議・契約・出張・報告書など)においても、次のような制度設計がなされています。
- 保存期間の設定・削除制御
- 廃棄プロセスと証明の記録
- 編集不可のファイルロック
- 閲覧・操作ログの保存
- 台帳・検索・分類の自動化
これらをすべてワークフロー内で完結し、制度運用の中に溶け込ませる構造があるからこそ、「電子化された書類」が制度的に正しい証拠として“残せる”文書になるのです。
まとめ
- 電子化とは、「便利に処理できること」ではなく、「制度として記録が残ること」
- 電子帳簿保存法やe文書法は、制度を崩さずに電子化するための設計条件である
- 真の制度対応とは、操作するだけで制度が守られる構造を持つこと
- ジュガールは、経費精算も、通常の社内文書も、すべて “制度対応済の設計思想”で統一された電子化基盤である