裁判員休暇|辞退できる?報酬、給料は?休暇申請の方法まで解説!

裁判員制度とは?辞退が認められる事例や報酬、休暇申請方法についても徹底解説!
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目次

そもそも裁判員制度とは何か?

裁判員制度とは、2009年に日本で導入された制度で、一般市民が刑事裁判に参加し、裁判官と共に被告人の有罪・無罪や量刑を判断する仕組みです。

裁判員に選定された場合、一定の義務が発生します。これは、日本の法律に基づいたものであり、以下の法令により市民としての責任が明確に定められています。

裁判員法(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律)

裁判員法は、裁判員制度の運営に関する基本的な事項を定めた法律です。この法律には、裁判員の選定手続き、職務内容、報酬などが含まれています。特に重要なのは、第3条において、「国民は、裁判員として刑事裁判に参加する義務を負う」と明記されている点です。

刑事訴訟法

刑事訴訟法は、刑事裁判の全般的な手続きを規定する法律で、裁判員制度に関連する具体的な手続きも含まれています。第2章第4節には、裁判員の参加に関する詳細な規定が記載されています。これにより、裁判員として選定された市民は、法的な義務として裁判に参加することが求められます。

無断欠席等の罰則

裁判員に選定されたにもかかわらず、正当な理由なく無断で欠席した場合には、罰則が科されることがあります。具体的には、以下のような罰則が規定されています。

裁判員法第103条:裁判員に選定された者が正当な理由なく職務を遂行しない場合、10万円以下の過料が科されることがあります。

この罰則規定は、裁判員制度の重要性と、市民が果たすべき責務の重大さを示しています。したがって、裁判員に選定された場合には、法律に従い、誠実に職務を遂行することが求められます。

詳細については、裁判員制度に関する公式サイトをご参照ください。

裁判員制度における裁判員の選ばれ方

裁判員制度において裁判員がどのように選ばれるかについておおまかな流れをお伝えします。

候補者の選定

裁判員候補者は、住民基本台帳から無作為に選ばれます。日本全国の市町村が保有する住民基本台帳を基に、裁判員候補者名簿が作成されます。

裁判員候補者通知

裁判員候補者として選定された場合、裁判所から「裁判員候補者通知」が送られてきます。この通知には、裁判員として選ばれる可能性があること、裁判所に出頭する義務があることが記載されています。

調査票の提出

通知を受け取った裁判員候補者は、同封されている「調査票」に必要事項を記入し、裁判所に返送します。この調査票には、以下の内容が含まれています。

  • 健康状態:裁判員としての職務を遂行するために支障がないかを確認します。
  • 職業:裁判員の職務に影響を与える可能性があるかを判断します。
  • 家庭の状況:裁判員としての参加に対する支障の有無を確認します。
  • 辞退理由:辞退を希望する場合、その理由を記入します。辞退が認められるかどうかは、裁判所の判断に委ねられます。

(辞退が認められる事例は下に詳しく解説します。)

裁判員選任手続き

裁判員候補者は、指定された期日に裁判所に出頭し、裁判員選任手続きを受けます。この手続きでは、裁判官が面接を行い、候補者の適性を判断します。面接では、候補者の公平性や職務の遂行能力などが確認されます。

裁判員の決定

裁判員選任手続きの結果、正式に裁判員として選ばれた場合、裁判官からその旨が通知されます。選ばれた裁判員は、裁判に出席し、裁判官と共に審理に参加します。なお、裁判員候補者として出頭したが選任されなかった場合、その後の拘束はありません。

裁判員制度における辞退が認められる事例

裁判員制度において、裁判員候補者は無作為に選ばれ、裁判に参加する義務が生じます。しかし、特定の事情により裁判員の職務を遂行することが困難な場合、辞退を申請することが認められています。以下に、裁判員の辞退が認められる具体的な事例を紹介します。

健康上の理由

健康上の問題がある場合、裁判員の辞退が認められることがあります。例えば、重い病気や慢性的な疾患、身体的な障害がある場合、裁判員の職務を遂行することが難しいと判断されることがあります。また、妊娠中や産後間もない場合も同様です。裁判所に対して医師の診断書などを提出することで、辞退が認められる可能性があります。

家庭の事情

家庭の事情により裁判員の職務を遂行することが困難な場合も、辞退が認められることがあります。例えば、幼い子供や高齢の親の世話をしている場合、その責任を放棄して裁判員の職務に従事することが難しいと判断されることがあります。また、家族に重篤な病人がいる場合も同様です。このような場合も、状況を詳細に説明し、必要な書類を提出することで辞退が認められることがあります。

仕事上の理由

仕事上の理由も裁判員の辞退が認められる要因の一つです。特に、自営業者やフリーランスの方々の場合、長期間の裁判員の職務に従事することで収入が大きく減少する可能性があります。また、重要なプロジェクトや業務を抱えている場合、それらを放棄して裁判員の職務を遂行することが困難であると判断されることがあります。これには、会社からの証明書やプロジェクトの詳細を記載した書類を提出することが必要です。

学業の理由

学生の場合、学業が裁判員の職務と重なることで辞退が認められることがあります。特に、試験期間や重要な授業がある場合、それらを欠席して裁判員の職務に従事することが難しいと判断されることがあります。学校からの証明書や試験日程を記載した書類を提出することで、辞退が認められることがあります。

特別な事情

その他の特別な事情により、裁判員の職務を遂行することが困難な場合も、辞退が認められることがあります。例えば、宗教的な理由や心理的な理由で裁判員の職務を遂行することが難しい場合がこれに該当します。また、過去に被害者や加害者として裁判に関わった経験がある場合も、辞退が認められることがあります。これらの場合も、状況を詳細に説明し、必要な書類を提出することが求められます。

また、一定期間のみの辞退の申請も可能です。

以下裁判所公式サイトより引用

【裁判員になることが特にむずかしい特定の月がある場合に関する辞退希望について】

 調査票では,月の大半にわたって裁判員になることが特にむずかしい特定の月について,2か月を上限にあらかじめ辞退の希望をお伺いすることとしています。

 これは,調査票をお送りする前年の段階で,特定の月については参加が困難であるなどといった事情があらかじめお分かりになっている方もいるでしょうから,そうした都合を早期にお伺いして無用に裁判所にお越しいただくことを避ける目的から,2か月を上限としてそのような都合をお伺いする運用を考えたものです。

https://www.saibanin.courts.go.jp/introduction/notification/index.html

裁判員制度において、裁判員の辞退が認められる事例は多岐にわたります。健康上の理由、家庭の事情、仕事上の理由、学業の理由、その他の特別な事情など、さまざまな理由で辞退が認められる可能性があります。辞退を希望する場合は、状況を詳細に説明し、必要な書類を提出することで、裁判所が適切に判断を下すことが求められます。

従業員が裁判員に選任された際の対応について

従業員が裁判員に選任された場合、使用者は、当該従業員に特別休暇を付与しなければなりません。

これを裁判員休暇といいます。

裁判員の職務は「公の職務」に当たります。裁判官への選任は基本的に辞退できず、また、平日に行われる裁判と労働日が重なった場合には、裁判員としての職務を優先することになります。

したがって、使用者は、裁判員等に選ばれた従業員から請求を受けた場合には、当該従業員に裁判員休暇を付与しなければなりません。(労働基準法7条)

労働基準法(公民権行使の保障)第7条

使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない。但し、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することができる。

職務の執行に必要な日数は、裁判員候補者に留まるか、裁判員として正式に選任されるかで異なります。

裁判員候補者になった場合、選任手続の当日に、裁判官による面接を受けるために裁判所へ出向く必要がありますが、

選任されなかった場合には、その後時間的に拘束されることはありません。

正式に裁判員として選任された場合には、その後の裁判手続に参加することになります。

なお、5日前後で審理が終了するケースが多いようです。

裁判員休暇中の給与支払いについて

法律上、裁判員休暇中の給与支払いに関する定めはないので、有給とするか無給とするかは、使用者の判断に委ねられることになります。したがって、無給としても違法ではありません。その場合でも、裁判員として選任された労働者は、交通費とは別に裁判員としての日当をもらうことができます。

報酬の二重取りに当たるのではないかという疑問が生じますが、裁判員としての日当は、「裁判員としての職務等の遂行により生じる損失を一定の限度で弁償(補償)するもの」です。つまり、あくまで損失の補償を目的とするものであって、裁判員としての職務に対する報酬ではありません。

したがって、労働者としての勤労に対する報酬である給与とは性質が異なるものであるため、両方を受け取っても報酬の二重取りには当たりません。

重要な業務時間と申請された時間が被ってしまったら?

時間変更の申請

労働基準法第7条では、使用者が裁判員の職務の遂行に妨げがない場合、請求された時刻を変更することができると規定されています。したがって、業務に重大な影響が出る場合には、裁判所に対して裁判員の職務時間の変更を申請することが可能です。

被雇用者の立場からの対応

通知の確認と報告

裁判所から裁判員に選定された通知が届いたら、速やかに上司に報告し、裁判員として参加する旨を伝えましょう。

休暇申請手続き

会社の休暇申請手続きに従い、裁判員休暇を申請します。通常の休暇申請書に加え、裁判所からの通知書のコピーを添付することが求められる場合があります。

辞退の可能性

裁判員の職務を遂行することが業務に重大な損害を与える場合、裁判所に対して辞退の申請を行うことができます。ただし、辞退が認められるかどうかは裁判所の判断に委ねられます。

以下裁判所公式サイトから引用

裁判員候補者名簿に記載された方には,名簿記載通知とともに「調査票」をお送りします。

 この調査票は,裁判員候補者名簿に記載された方に,裁判員になることができない職業に就いているかどうかや,1年間を通じて辞退することができる事由がある場合における辞退希望の有無・理由などをお伺いして,裁判員に選ばれることのない方がわざわざ裁判所にお越しいただかなくてもよいようにするためのものです。

 したがって,調査票の質問のいずれにも当てはまらない方は,調査票を提出していただく必要はありません。

 また,辞退の希望については,この調査票の回答によりお伝えいただくほか,具体的な事件の裁判員候補者に選ばれた場合に,その段階でお送りする質問票に回答していただくことや,選任手続期日の当日に裁判所にお越しいただいたときに,直接申し出ていただくことも可能です。

なお,調査票の回答に関して,改めてご連絡を差し上げることはいたしませんが,裁判員になることができない職業についている旨や1年間を通じて辞退することができる事由に当てはまる旨の回答をされた方には,その年の翌年1年間を通じて裁判所にお越しいただくことのないよう十分配慮いたします。

https://www.saibanin.courts.go.jp/introduction/notification/index.html

報酬について

裁判員としての日当は「裁判員としての職務等の遂行により生じる損失を一定の限度で弁償(補償)するもの」です。給与と日当は性質が異なるため、両方を受け取ることが可能です。

裁判員制度の休暇で仕事をクビになる?

休暇申請が認められないのではないか、休んだことによって仕事上の不利益を被るのではないか、と心配される方もいるでしょう。

しかしながらそれは明確な違法行為です。
先述したように労働基準法第7条においての禁止事項にあたります。

また法務局より有給休暇の取得が推奨されています。
『法務省 従業員の方が裁判員等に選ばれた場合のQ&A』https://www.moj.go.jp/keiji1/saibanin_qa_others.html

裁判員休暇のまとめ

裁判員に選定された場合、雇用主は従業員に裁判員休暇を付与し、必要に応じて時間変更の申請を行うことができます。被雇用者は、通知を受けたら速やかに上司に報告し、適切な休暇申請を行います。業務に重大な損害が出る場合には、辞退の申請を検討することも可能です。

裁判員休暇の申請書の書き方

裁判員に選定された場合、裁判休暇を申請するために必要な申請書の書き方について詳しく説明します。

申請書の準備

まず、会社が提供する裁判休暇申請書を用意します。会社によっては特定の様式がある場合がありますので、人事部門または総務部門に確認してください。以下の情報は一般的な項目として含まれることが多いです。

基本情報の記入

  • 氏名:フルネームを記入します。
  • 社員番号:会社が発行している社員番号を記入します。
  • 所属部署:所属している部署名を記入します。
  • 役職:現在の役職を記入します。

休暇の詳細

  • 休暇の種類:裁判休暇と明記します。
  • 休暇期間:裁判所から通知された出頭日および裁判期間を記入します。具体的な日付を含めましょう。
  • 理由:裁判員として選定された旨を簡潔に記載します。「裁判員に選定され、裁判員法に基づき、裁判員の職務を遂行するため」と記載することが一般的です。

裁判所からの通知書の添付

裁判所から送付された裁判員選定通知書のコピーを申請書に添付します。この通知書は、裁判員として選定されたことを証明する重要な書類です。

上司の承認

  • 上司の署名:申請書を提出する前に、直属の上司の承認を得る必要があります。上司に署名欄がある場合は、そこに署名と日付を記入してもらいます。

6. 提出先

  • 提出先:人事部門または総務部門に提出します。会社の規定に従って提出先を確認してください。

裁判休暇申請書の例

以下は、裁判休暇申請書の例です。各項目を記入し、必要な書類を添付して提出してください。

裁判休暇申請書

氏名:山田 太郎

社員番号:123456

所属部署:営業部

役職:主任

休暇の種類:裁判休暇

休暇期間:2024年7月15日~2024年7月20日

理由:裁判員に選定され、裁判員法に基づき、裁判員の職務を遂行するため。

添付書類:裁判員選定通知書のコピー

上司の承認

上司の署名:__________

承認日:2024年7月10日

裁判休暇の申請は、法的義務を遂行するための重要な手続きです。上記の手順に従い、正確かつ迅速に申請書を作成し、提出してください。

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項目としては、届出日、所属、氏名、理由、管轄裁判所、日時、連絡先、添付書類が作成されます。

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