【稟議と申請】違いがしっかり分かる|企業の意思決定を解説!

企業活動において、「稟議」と「申請」の2つの承認・決裁プロセスが存在します。これら二つのプロセスの違いについて、明確な線引きがあるわけではありませんが、一般的には経営層の決裁を仰ぐプロセスを「稟議」と呼び、一定のルール内で部内決裁で進行させるプロセスを「申請」と呼びます。以下、詳しく解説します。

企業のステークホルダーと意思決定の必要性

企業は株主、顧客、従業員、取引先、地域社会など、多様なステークホルダーの利益を考慮しながら活動を行います。各意思決定はこれらの利益をバランスさせる必要があり、特に資金の適切な管理と使用は企業ガバナンスの根幹をなします。このことから、会社内には1円でも自分の自由にお金を使える人は存在しません。(株主=取締役=執行役であるような場合を除いて)

株主総会で選出された取締役は、企業の資源に関する重要な決定を行う責任を負いますが、その全てについて会議を開催して個別に審査することは現実的ではありません。このことから、書面で取締役1人1人の承認を取り付け、一定以上の承認が得られれば決裁とする、という稟議プロセスが日本企業では広く運営されています。

稟議の役割とプロセス

稟議は、特に新しいプロジェクトの提案や大規模な投資など、企業にとって重要かつ影響が大きい事項に対して使用されるプロセスです。稟議書は、提案の詳細、予算、期待されるリターン、リスク評価を含む必要があり、複数の決裁者による承認を経て最終的な決定が下されます。このプロセスは透明性を確保し、経営陣間でのコンセンサス形成を促します。

ただし、会社が大きくなってくると、稟議プロセスという形で手続きを簡易化したとしても、すべての意思決定を取締役が行うということ自体が難しくなってきます。このため、規程を定めて手続きや判断基準を定めた上で、意思決定・判断を権限移譲していきます。その場合の承認・決裁プロセスを一般的に「申請」と呼びます。

申請の役割とプロセス

申請はより日常的な業務に関連する決定に適用されます。これには、オフィス用品の購入、出張の承認、小規模な費用支出などが含まれます。申請プロセスは通常、直属の上司が承認を行い、その決定は迅速かつ効率的に行われることが望まれます。申請により、日々の業務がスムーズに運営され、組織のリソースを効率的に利用することが可能になります。

企業で行われる申請の例

  • 出張申請:業務のために出張する際の申請。
  • 経費精算申請:業務上の出費を会社に精算してもらうための申請。
  • 仮払金申請:業務遂行のために必要な経費を、事前に会社から受け取るために行う。
  • 休暇申請:社員が休暇を取得するための申請。
  • 育児休業・介護休業申請:育児や介護のための休業を申請する。
  • 福利厚生申請:福利厚生制度を利用するための申請(住宅手当、通勤手当など)。
  • 勤務時間変更申請:勤務時間の変更を希望する際の申請(フレックス勤務や時短勤務など)。
  • 転勤・異動申請:部署や勤務地の変更を希望する際の申請。
  • 業務改善提案申請:業務改善の提案を行うための申請。
  • 新規プロジェクト提案申請:新しいプロジェクトを提案するための申請。
  • 退職申請:退職を希望する際の申請。

稟議と申請の違いの比較表

稟議の特徴と使用例

特徴

  • 目的: 重要な意思決定を行うための承認を得ること。
  • プロセス: 関係者全員に回覧され、それぞれの承認を得る。
  • 関係者: 通常は、複数の部署や階層の承認者(上司や役員など)が関与する。
  • 文書: 稟議書(りんぎしょ)という正式な文書が用いられ、内容、目的、背景、必要な予算やリソース、利害関係者の意見などが記載される。
  • 承認フロー: 順番に回覧され、承認者がコメントを付けたり、修正を求めたり、最終的に承認や却下を決定したりする。

使用例

  • 大規模なプロジェクトの開始
  • 新製品の開発や市場投入
  • 予算の大幅な変更や新規投資
  • 重要な契約の締結

申請の特徴と使用例

特徴

  • 目的: 特定の行動や資源の使用許可を得ること。
  • プロセス: 一人の申請者が書類を作成し、必要な承認者に提出する。
  • 関係者: 主に申請者とその直属の上司、または特定の承認者が関与する。
  • 文書: 申請書(しんせいしょ)という形式で、必要な情報(理由、目的、詳細、予算など)が記載される。
  • 承認フロー: 申請者から上司や担当部署に提出され、必要な承認を得る。

使用例

  • 休暇の取得
  • 経費の精算
  • 出張の申請
  • 物品の購入
  • 研修やセミナーへの参加申請
項目稟議申請
目的重要な意思決定の承認特定の行動や資源の使用許可
プロセス複数の承認者による回覧申請者から承認者への提出
関係者複数の部署や階層の承認者主に申請者とその上司
文書形式稟議書申請書
使用例大規模プロジェクト、新製品開発、 予算変更休暇取得、経費精算、出張申請

権限移譲とその重要性

効率的な意思決定を支援するためには、権限移譲が鍵となります。取締役や上級管理職から中間管理職や個々の従業員への権限移譲により、組織は迅速かつ効果的に動くことができます。権限が適切に移譲されることで、稟議が必要な場面と申請で十分な場面を明確に区分けし、それぞれのプロセスの適用を適切に行うことができます。

まとめ

企業における稟議と申請の適切な理解と活用は、組織全体の効率性と生産性の向上に直接的に寄与します。稟議は、複数の承認を必要とする重要な意思決定に使用され、組織の戦略的方向性や大規模な資金の流れを管理します。一方、申請はより日常的な業務の迅速な処理を可能にし、従業員が直面する小規模な課題に対応するために役立ちます。

ワークフローにおける稟議と申請の関係性

稟議と申請は、企業の意思決定プロセスと日常業務の管理において、異なる役割を担いながら相互に補完し合うこともあります。稟議は主に戦略的な意思決定や大規模なプロジェクトの承認に使用され、一度稟議が承認されると、その後の日常的な業務遂行のために申請が行われます。このように、稟議と申請は段階的に連携しているため、それぞれのワークフローを理解することが重要です。

戦略的決定から具体的な行動へ

稟議により、新規プロジェクトの開始や大規模な投資が承認されます。

稟議の承認後、そのプロジェクトの遂行に必要な日常的な経費やリソースの申請が行われます。

例:新製品開発プロジェクト

稟議プロセス

  • 製品開発チームが新製品の開発提案を稟議書として作成。
  • 関係部署や役員による回覧と承認。
  • 稟議が承認され、プロジェクトが正式に開始。

申請プロセス

  • プロジェクト担当者が開発に必要な経費(材料費、外注費など)を申請。
  • 上司の承認を得て、経理部門に提出。
  • 経理部門が資金を支給し、プロジェクトが進行。
  • 開発完了後、経費精算を行い、報告書を提出。

稟議と申請は、企業のワークフローにおいてそれぞれ重要な役割を果たし、相互に補完し合っています。稟議は重要な戦略的決定を行うために必要であり、その後の日常的な業務遂行には申請が用いられます。この連携により、企業は戦略的な方向性を明確にしながら、効率的に日常業務を遂行することができます。稟議と申請の適切な理解と活用により、組織全体の効率性と生産性の向上が実現されます。

稟議と申請の効果的な管理

効果的な稟議と申請の管理を行うためには、以下のポイントを考慮することが重要です:

  1. プロセスの明確化: 稟議と申請のプロセスは、組織内で明確に文書化され、全従業員に周知される必要があります。これにより、どの決定が稟議を要し、どの決定が申請で足りるのかが明確になります。
  2. 教育とトレーニング: 従業員に対して、稟議と申請のプロセスの違いと重要性を理解させ、適切な状況で正確に適用できるようにするための定期的な教育とトレーニングを提供します。
  3. 技術の活用: ワークフローシステムを活用して、稟議書の作成、申請の提出、および承認プロセスを自動化し、記録を容易にアクセス可能かつ追跡可能にします。これによりプロセスの透明性と効率が向上します。
  4. 継続的な評価と改善: 稟議と申請のプロセスを定期的に評価し、必要に応じて改善策を講じることで、組織のニーズに合わせてプロセスを進化させることが重要です。

まとめ

稟議と申請は、企業のスムーズな運営に必須のプロセスであり、それぞれが異なるシナリオでの適切な利用が求められます。これらのプロセスを適切に管理し、効果的に運用することで、組織の効率性、透明性、および決定の質を高めることができます。従業員がこれらの違いを正しく理解し、適切に活用することが、組織の持続可能な成長と成功への鍵となります。

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  • 決裁ステータス管理: 決裁番号の発番や、決裁後の書類変更を禁止する機能により、プロセスの透明性と信頼性が向上します。
  • きめ細かな権限設定: 書類の作成者、承認者、閲覧者などの権限を細かく設定でき、大企業でもスムーズに運用可能です。
  • 多段階の承認分岐と承認スキップ機能: 複雑な承認フローにも対応し、役職者不在時の承認スキップ機能により、プロセスが滞ることを防ぎます。

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