ワークフロー図の作成と活用
ワークフロー図とは、業務の中で複数の人が関わるやり取りの流れを図式化したものです。
申請・承認・決裁といった企業の意思決定がスムーズに進められるよう、ワークフローが適切に機能することが重要です。
ワークフロー図を作成することで業務プロセスを可視化し、問題点を発見したり改善したりすることができます。
本記事では、ワークフロー図の作成手順やメリット、ポイントについて紹介しています。
ワークフロー図・業務フロー図とは？
組織内の業務の中で複数の人が関わるやり取りの流れを図式化したものです。
申請・承認・決裁といった一連の業務手順や担当者・役割・責任などを明確にし、業務の進捗管理や改善のための分析に役立てることができます。
業務フロー図とも呼ばれ、適切に作成・活用することで、業務効率化のための業務整理が容易になります。
ワークフロー図の導入メリット
ワークフロー図によって仕事全体的な流れを可視化でき、業務の中身や工程について全体像がつかめます。それにより社員が自分の業務内容への理解を深めることができます。 そのため、他部署であっても業務全体のどの工程にあたるか、相互関係も把握できます。
ワークフロー図による業務改善と効率化
ワークフロー図を活用することで、ひとりあたりにかかる業務の負荷、課題、問題点が見えやすくなります。これにより効率的な作業改善がスムーズに進められコミュニケーションの円滑化につながります。 仮に裁判所から特定の書類を要求された場合にも、すぐに対応できるでしょう。
ワークフロー図の重要性
業務効率化
ワークフロー図は業務の効率化に非常に役立ちます。業務の流れを可視化することで、どの部分に無駄があるか、どの手順がボトルネックになっているかを明確にすることができます。これにより、無駄を省き、効率的な業務運営が可能となります。
コミュニケーションの向上
業務プロセスを視覚化することで、異なる部門やチーム間のコミュニケーションが円滑になります。誰が何をしているのか、次に何をすべきかが一目でわかるため、誤解や伝達ミスが減少します。
標準化と品質保証
ワークフロー図は業務の標準化にも貢献します。業務プロセスが明確に定義され、全員が同じ手順に従うことで、一貫した品質を保つことができます。これにより、製品やサービスの品質向上にもつながります。
オートメーションの促進
業務プロセスを図式化することで、どの部分を自動化できるかを見つけやすくなります。手動で行っている業務を自動化することで、効率が上がり、エラーが減り、コスト削減につながります。
ワークフロー図の種類
ワークフロー図にはいくつかの種類があります。それぞれの特徴を理解し、適切なものを選ぶことが重要です。
ANSIフローチャート
ANSIフローチャートは、米国国家規格協会（American National Standards Institute）が制定した標準記号を用いたフローチャートです。業務プロセスの各ステップを標準化された記号で表現し、共通の言語として使用されます。これにより、異なる組織間でも理解しやすい図を作成することができます。
UMLアクティビティ図
UMLアクティビティ図は、統一モデリング言語（UML）を使用した図です。業務プロセスの各ステップとその制御の流れを視覚的に表現します。特にソフトウェア開発やシステム設計においてよく使用されます。
BPMN
ビジネスプロセスモデリング表記法（BPMN）は、ビジネスプロセスを視覚的に表現するための標準記法です。UMLアクティビティ図に似ていますが、よりビジネスプロセスに特化しています。技術者とビジネスユーザーの両方に理解しやすい共通の言語を提供します。
スイムレーン図
スイムレーン図は、プロセスの各ステップを担当者や部門ごとに分けて表現します。各担当者や部門がどのステップを担当するかを明確にすることで、責任の所在を明確にし、効率的な業務運営を支援します。
SIPOC図
SIPOC（Supplier, Input, Process, Output, Customer）は、プロセスの全体像を簡潔に表現するための図です。供給者から顧客までの流れを視覚化し、プロセスの重要な要素を明確にします。特に、プロセス改善や新しいプロセスの設計に役立ちます。
ワークフロー図の書き方
ワークフロー図を作成する際には、担当者や業務に関する情報を集めて整理し、図を制作します。実務担当者にヒアリングを行い業務の見直しまで済ませて置くことで、より実用的なワークフロー図に仕上がります。
ここは少し時間のかかる作業ですが、ワークフロー図作成後には、作業効率が格段にアップいたします。
目的を明確にする
まず、ワークフロー図を作成する目的を明確にします。業務の効率化を図るためか、業務プロセスを標準化するためか、オートメーションを促進するためかなど、目的によって図の作成方法が異なります。
情報収集
関係者の確認
業務に関わる担当部署や担当者、顧客など関係者を特定し、実際の業務工程や必要なワーク・処理、ケースによる判断などの情報を収集します。
改善点の修正
ワークフロー図を作成する前に、業務改善の観点から改善点を修正しましょう。ワークフロー図の導入メリットを早く得るためには、改善点を反映した状態で作成を進めることが重要です。
ワークフロー図の作成
整理した情報をもとに、ワークフロー図を作成します。適切な記号や図形を使用し、業務プロセスを視覚的に表現します。見やすく、分かりやすい図を作成することが重要です。
改善点の発見
ワークフロー図全体を最終確認し、工程内容、順序、矢印の向きなどに間違いがないかを確認します。同時に、関係者に共有する前に改善の余地がないかを再度検討し、手動作業の自動化や重複作業の一本化、遅延の原因となる工程の削減などの業務改善の可能性を探ります。
改善の余地
通知メールの削減や手動ワークの自動化、ワークの重要度のランク付け、遅延の原因となる余分な工程の削減など、改善の余地がないかを実際の利用者・関係者と協力して見直します。
働き方の改善
ワークフロー分析による働き方の改善は、会社の将来に大きく影響します。会社の将来的な目標を達成するために適した働き方ができているかどうかを見直しましょう。
ワークフロー図をアップデートしていくことで現在の環境に適した最適なワークフローを作り上げることが重要です。
仮に裁判所から特定の書類を要求された場合にも、すぐに対応できるでしょう。
ワークフロー図の作成のポイント
完成度のワークフロー図を目指して、ここでは作成する際に知っておくべきポイントを説明します。
より正確でわかりやすいワークフロー図を目指しましょう。
目的と対象を明確化
ワークフロー図の作成時に必要な情報を事前に明らかにしておきましょう。以下の情報は特に重要です。
・誰の担当業務なのか
・いつ開始する業務なのか
・どのような作業を含むのか
これらのポイントに留意することで、より正確なワークフロー図を作成することができます。関係者との共通理解を図りながら、業務プロセスの可視化と改善に取り組んでください。
わかりやすい図の作成
ワークフロー図は、業務全体の流れが理解できるように作成する必要があります。そのためには、業務の開始地点や時系列の流れ、条件によるフローの分岐などを明確に示すことが重要です。
複雑なワークフローでも、ごちゃごちゃとした印象にならないように注意しましょう。図形、記号、枠などを活用し、シンプルで整然としたデザインを心掛けます。重要な要素には効果的な色を使用し、読みやすさを確保するために余白を設けるなどの工夫が有効です。
また、実際に業務に携わっている社員だけでなく、他の部門の社員や新入社員も大まかな業務の流れを理解できる状態を目指しましょう。そのためには、「開始条件」「時系列の流れ」「条件分岐」を明確に表現することが重要です。
ワークフロー図を作成する際は、これらのポイントを意識しながら、読みやすく、理解しやすい図を作りましょう。業務の可視化と共有を通じて、効果的な業務改善や円滑なコミュニケーションを促進しましょう。
ツールの活用と共有
ワークフロー図の作成は、手作業では時間がかかる作業です。しかし、ツールを活用することで、作業効率を大幅に向上させることができます。
一から図形や線を描いたり、テキストを配置したりする手間を省くことができ、直感的なインターフェースや使いやすい操作方法を提供しております。
また、ツールには便利な機能やテンプレートが用意されており、これにより、ワークフロー図の作成に必要な要素や記号がすでに整備されているため、素早く作業を進めることができます。
さらに、他のチームメンバーや関係者との協力もスムーズになることで、ワークフロー図を共有し、意見やフィードバックを受け取ることが容易になります。ツールを通じて複数の人々が同時に作業を行い、リアルタイムで編集やコメントを行うことも可能です。
ワークフロー図の具体的な事例
コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングのワークフロー図を作成することで、コンテンツ作成のプロセスを明確にし、効率化を図ることができます。以下のようなステップを含めることができます。
- ライターがコンテンツの下書きを作成し、エディターに送る。
- エディターが下書きをレビューし、修正点を指示する。
- 修正後のコンテンツをデザイナーに送る。
- デザイナーが視覚的なリソースを作成し、マーケターに送る。
- マーケターがコンテンツをCMSにアップロードし、SEO対策を行う。
ITセキュリティ
ITセキュリティのワークフロー図を作成することで、サイバー攻撃への対応プロセスを明確にし、迅速な対応が可能になります。以下のようなステップを含めることができます。
- サイバーセキュリティチームがインシデントを報告する。
- インシデントの評価を行い、緊急対応が必要か判断する。
- 緊急対応ミーティングを開催し、解決策を決定する。
- 解決策を実行し、効果を確認する。
- 問題が解決しない場合は、再度対応策を検討する。
アプリ開発
アプリ開発のワークフロー図を作成することで、開発プロセスを明確にし、効率化を図ることができます。以下のようなステップを含めることができます。
- 開発チームが要件定義を行う。
- デザインチームがUI/UXデザインを作成する。
- 開発チームがプログラミングを行い、アプリを開発する。
- テストチームがアプリのテストを行い、バグを修正する。
- アプリをリリースし、ユーザーフィードバックを収集する。
Eコマース
Eコマースのワークフロー図を作成することで、注文処理のプロセスを明確にし、効率化を図ることができます。以下のようなステップを含めることができます。
- 顧客が注文を確定し、クレジットカード情報を入力する。
- システムがクレジットカード情報を確認する。
- カード情報が承認されなかった場合、顧客に再度連絡する。
- 請求書とラベルを印刷し、注文品を梱包する。
- 注文品を出荷し、顧客に通知する。
教育
教育のワークフロー図を作成することで、授業の進行や学生の管理プロセスを明確にし、効率化を図ることができます。以下のようなステップを含めることができます。
- 学生がシステムにログインし、授業の出席を確認する。
- 講師が授業のスケジュールを設定し、教材をアップロードする。
- 学生が授業に出席し、教材を学習する。
- 学生が重要な通知を確認し、必要なアクションを取る。
- 学生の出席状況や学習進捗を記録し、講師がフィードバックを提供する。
医療
医療のワークフロー図を作成することで、患者の診療プロセスを明確にし、効率化を図ることができます。以下のようなステップを含めることができます。
- 患者が到着し、看護師が健康状態を確認する。
- 受付が患者情報をシステムに入力する。
- 患者が医師の診察を受ける。
- 医師が診療結果をもとに投薬や再来院の指示を行う。
- 患者が必要な処方を受け取り、診療を終了する。
財務
財務のワークフロー図を作成することで、予算管理や経費精算のプロセスを明確にし、効率化を図ることができます。以下のようなステップを含めることができます。
- 文書作成者が予算案を作成し、部長に転送する。
- 部長が予算案をレビューし、承認または却下する。
- 承認された予算案が財務部に転送される。
- 財務部が最終承認を行い、予算案を実施する。
- 必要な場合、再度予算案の見直しを行う。
新入社員の手続き
新入社員の手続きのワークフロー図を作成することで、入社プロセスを明確にし、効率化を図ることができます。以下のようなステップを含めることができます。
- 新入社員が必要な書類を記入し、提出する。
- 人事部が書類をレビューし、承認または修正を依頼する。
- 承認された書類が管理課に転送される。
- 管理課が新入社員の配属先を準備する。
- 新入社員が配属先に着任し、入社手続きを完了する。
ワークフローの導入ならジュガール
「ジュガール」では、複数の部門や担当者が同時に承認作業を行うことができるため、決裁までの時間を大幅に短縮できます。
また、問題が発生した場合には進行を停止させて作業を差し戻すことも可能です。
これにより、企業にありがちな「紙媒体で承認者が不在」「他の部門との連携が不十分」といった問題も改善できます。
さらに、「ジュガール」では、業務上の条件分岐を設定することで、これまで手動で行っていた作業の振り分けを自動化することができます。
これにより作業が簡略化され、ワークフローの改善や業務効率化が実現します。
誰でも簡単にワークフローを作成することができ、社内の稟議・申請・報告書を一元管理することが可能です。
ぜひ、「ジュガール」の導入をご検討ください。
