この記事のポイント
- ワークフローシステムの費用対効果(ROI)の基本的な考え方と計算式
- 投資額に含めるべき「総所有コスト(TCO)」の全貌と、見落としがちな隠れたコスト
- システムの「対象範囲」によってROIが大きく異なる理由
- 人件費削減などの「定量的効果」を、簡便的に計測するための具体的な方法
- 算出したROIを武器に、経営層や関係者を巻き込むための説得の技術
なぜ今、ワークフローシステムのROIが経営課題となるのか?
現代のワークフローシステムは、単なる経費削減ツールではなく、企業の俊敏性や内部統制を強化する戦略的基盤です。そのため、その投資対効果(ROI)を正しく評価することは、DX推進や持続的成長を目指す上で極めて重要な経営課題となっています。
デジタルトランスフォーメーション(DX)や働き方改革が叫ばれる中、多くの企業が業務効率化のために統合型ワークフローシステムの導入を進めています。しかし、その導入効果をどれだけ正確に測定できているでしょうか。
かつてワークフローシステムのROIは、人件費や印刷費の削減といった直接的な「コスト削減」効果で語られることがほとんどでした。しかし、テレワークが常態化し、事業環境の変化が激しくなる中で、その価値はより多角的になっています。
- 意思決定の迅速化は、ビジネスチャンスを逃さないための「俊敏性(アジリティ)」に直結します。
- 業務プロセスの可視化と標準化は、不正を防ぎ、企業の信頼性を高める「内部統制・ガバナンス強化」に貢献します。
これらは、投資家が企業の持続的成長性を評価する際に重視する「非財務情報」そのものであり、企業価値に直接影響を与える要素です。つまり、ワークフローシステムのROIを分析することは、単なるIT投資の採算評価に留まらず、企業のDX成熟度や経営の質そのものを測る行為へと進化しているのです。
【FAQ】このセクションに関するよくある質問
A. ROIを正確に算出するプロセスでは、社内の業務フロー、コスト構造、意思決定のスピードなどを徹底的に可視化する必要があります。このプロセス自体が、自社の経営課題を客観的に洗い出すことにつながるため、ROI分析は経営の質を測るリトマス試験紙の役割を果たします。
ROIとは?基本的な計算式と陥りがちな落とし穴を解説
ROI(Return on Investment)とは「投資対効果」のことで、投資した費用に対してどれだけの利益(効果)を得られたかを示す指標です。基本的な計算式と、計算時に陥りがちな間違いを理解することが、適切な評価の第一歩となります。
ROIの基本的な計算方法
ビジネスシーンで最も一般的に使われるROIの計算式は以下の通りです。
ROI (%) = (効果額 – 投資額) ÷ 投資額 × 100
この計算式では、投資額を回収した上で、さらにどれだけの純利益があったかを示します。同時に、投資した費用を何年(何か月)で回収できるかを示す「投資回収期間」も合わせて算出すると、投資の効率性と安全性をより多角的に示すことができます。
投資回収期間 = 投資額 ÷ 年間効果額
ROI計算における3つのよくある間違いと回避策
正確なROIを算出するためには、いくつかの一般的な落とし穴を避ける必要があります。
- 間違い①:効果の過大評価・コストの過小評価
- 内容: ベンダーが提示する理想的な成功事例を鵜呑みにし、自社の「隠れたコスト」(特に社内人件費)を無視してしまうケース。
- 回避策: 必ず自社の現状データを基に、現実的な削減率で見積もり、社内担当者の工数も人件費として投資額に含める。
- 間違い②:定性的効果の完全な無視
- 内容: 「数値化できないから」という理由で、意思決定の迅速化やガバナンス強化といった重要な戦略的価値を議論から除外してしまうケース。
- 回避策: 金額換算が難しい場合でも、ROIの数値と合わせて報告し、投資の全体像を伝える。
- 間違い③:短期的な視点での評価
- 内容: 初年度のROIだけで投資の是非を判断してしまうケース。特に初期投資が大きいオンプレミス型では、初年度ROIは低く出がちです。
- 回避策: 3年から5年の期間でTCO(総所有コスト)と累計効果額をシミュレーションし、長期的な視点で投資価値を評価する。
【FAQ】このセクションに関するよくある質問
A. ROIは「投資対効果」や「投資利益率」と訳され、費用対効果を測るための具体的な指標の一つです。費用対効果が「かけた費用に対してどれだけの効果があったか」という広い概念を指すのに対し、ROIはそれを具体的な数値(パーセンテージ)で示す計算式・指標を指します。
【投資編】投資額はいくら?見えないコストを含む「総所有コスト(TCO)」の算出方法
ワークフローシステムの真の投資額は、月額利用料だけではありません。導入や運用にかかる人件費などの「隠れたコスト」を含めた総所有コスト(TCO)で捉える必要があります。このTCOを正確に算出することが、実態に即したROI計算の鍵となります。
本当に目を向けるべきは、TCO(Total Cost of Ownership:総所有コスト)という考え方です。これは、システムの導入から運用、廃棄までにかかるすべての費用の総額を指します。
見えるコストと隠れたコスト
TCOは、大きく「見えるコスト」と「隠れたコスト」に分けられます。
【表1】ワークフローシステム導入におけるTCOの構成要素
分類 | コスト項目 | 具体例 |
見えるコスト (ベンダーへの支払い) | 初期投資 | ソフトウェアライセンス費(オンプレミス型)、導入サポート費、カスタマイズ開発費、データ移行費など |
運用コスト | 月額・年額利用料(クラウド型)、保守・サポート費(オンプレミス型)、バージョンアップ費用、オプション機能利用料など | |
隠れたコスト(社内で発生する費用) | 社内人件費 | (最重要) プロジェクト担当者の工数、情報システム部門の運用管理工数、そして見過ごされがちな「コミュニケーション負担」 |
教育・研修コスト | 全従業員向けの説明会開催、マニュアル作成、問い合わせ対応にかかる工数や費用。システムのUI/UXに大きく左右される。 | |
生産性の一時的低下 | 新システムへの移行期間中に発生する、操作への不慣れによる業務の遅延 |
特に見落とされがちなのが、社内人件費に含まれる「コミュニケーション負担」です。ROIを計算する際、多くの企業は書類の「処理時間」のみに着目しがちですが、実際にはその前後に膨大なコミュニケーションが発生しています。
- 浸透・教育の負担:新しいルールや申請方法を全社に周知し、浸透させるための時間。
- 問い合わせ対応の負担:申請者からの「書き方が分からない」といった質問に、管理部門が個別に対応する時間。
- 確認・催促の負担:提出された書類の不備を確認したり、期限内に提出されない場合に催促したりする心理的・時間的負担。
これらの「コミュニケーション負担」を人件費として正確に投資額に含めなければ、ROIを正しく算出することはできません。
【FAQ】このセクションに関するよくある質問
A. 一概には言えません。クラウド型は初期投資を抑えられますが、利用期間が長くなると月額費用が積み重なります。一方、オンプレミス型は初期投資が大きいですが、長期的に見ればTCOが割安になる可能性もあります。自社の利用規模や期間を想定し、複数年でTCOをシミュレーションすることが重要です。
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【効果編】リターンをどう測る?ROIの根拠となる定量的・定性的メリット
ワークフローシステムがもたらす効果(リターン)は、大きく「定量的効果」と「定性的効果」に分けられます。ROI計算の根拠として最も重要なのは、具体的な金額で測定できる定量的効果です。定性的効果は、その投資の戦略的な価値を示す補足材料として活用します。
ROI計算の主軸となる「定量的効果」
定量的効果は、具体的な金額として算出できるため、ROI計算の根幹をなします。その効果は、主に以下の2つの柱で構成されます。
- 業務効率化による人件費削減(時間の金額換算) 最も大きな効果であり、「削減できた時間」を金額に換算して算出します。これには、単なる処理時間だけでなく、前述したコミュニケーション負担の削減も含まれます。年間削減人件費 = 削減時間 × 対象人数 × 時間単価 × 業務頻度(年間)
- ペーパーレス化などによる直接的なコスト削減 紙や印刷、郵送など、これまでかかっていた物理的な費用を直接的に削減する効果です。
【表2】主な定量的効果と算出アプローチの例
効果カテゴリ | 項目 | 算出アプローチ |
人件費削減 | 処理時間の短縮 | 申請書の作成や承認作業そのものにかかる時間を測定し、削減効果を算出。 |
コミュニケーション負担の削減 | 問い合わせ対応時間の削減:AIやFAQ機能による自己解決を促進。 確認・催促時間の削減:システムによる自動通知・催促機能で代替。 | |
直接コスト削減 | ペーパーレス化によるコスト削減 | 用紙代、印刷費、郵送費、倉庫賃料などの年間コストを積算。 |
エラー・不正防止 | 修正コストの削減 不正申請による損失回避 | 記入漏れによる差し戻し対応工数や、不正な経費申請による損失額を試算。 |
投資の戦略的価値を示す「定性的効果」
直接的な金額換算は難しいものの、企業の持続的な成長に不可欠な効果です。これらはROIの計算式に直接含めることは難しいですが、投資の妥当性を補強し、経営判断を後押しする重要な補足材料となります。
- 意思決定の迅速化: 紙の回覧では数日かかっていた決裁が1日以内に完了。
- 内部統制・ガバナンス強化: 承認ルートの逸脱や書類の改ざんリスクを防止。
- 従業員エンゲージメント向上: 単純作業や心理的負担から解放され、創造的なコア業務に集中。
- 業務プロセスの可視化と標準化: 属人化を解消し、業務のボトルネックを特定。
- 多様な働き方への対応: 「押印のための出社」を不要にし、テレワークを推進。
【FAQ】このセクションに関するよくある質問
A. 例えば「意思決定の迅速化」を、「決裁遅延による機会損失額の低減」として試算するなど、代理指標を用いて金額換算を試みることは可能です。ただし、算出根拠の客観性を担保することが難しいため、無理に金額換算するよりも、戦略的価値として言語化して説明する方が説得力を持つ場合が多いです。
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【最重要】ROIを最大化する鍵は「システムの対象範囲」にあり
ROIを正しく算出するためには、検討しているワークフローシステムが業務のどこまでをサポートするのか、その「対象範囲」を正確に理解することが不可欠です。同じ「ワークフローシステム」という名称でも、製品によってカバーする範囲が大きく異なり、それがROIに直結するからです。
「従来型」と「統合型」の対象範囲の違い
日本のビジネスにおけるワークフローとは、稟議、申請、届出、報告といった一連の「文書プロセス」の実行を指します。このプロセスのどこまでをシステムでカバーできるかが、ROIの大きさを決定づけます。
【表3】ワークフローシステムの対象範囲によるROIへの影響
サポート範囲 | 従来のワークフローシステム | 統合型ワークフローシステム(例:ジュガール) | ROIへのインパクト |
文書プロセス | 作成〜処理までをサポート | 作成〜処理〜保管〜保存〜廃棄まで一元管理 | 効果(大):決裁後の文書も管理下に置くことで、監査対応コストや情報漏洩リスクを大幅に削減。 |
関連文書管理 | 対象外(別システムで管理) | 規程・マニュアル(ルール文書)や通達(連絡文書)も統合管理 | 効果(中):申請時に最新ルールを迷わず参照でき、ミスの削減やガバナンス強化に繋がる。 |
AIによる支援 | 限定的、または対象外 | 蓄積された全文書をナレッジベースとしてAIが活用 | 効果(絶大):AIが問い合わせ対応、入力・判断支援を行うことで、従業員の作業負荷を劇的に軽減。 |
文書ライフサイクル全体を管理する価値
従来のワークフローシステムは、文書の「承認プロセス(作成〜処理)」は管理しますが、決裁が完了した文書は管理対象外となることがほとんどでした。しかし、企業文書は法律で長期保存が義務付けられており、その間の監査対応や調査依頼も発生します。
統合型ワークフローは、文書の作成から廃棄までの文書ライフサイクル全体を一元管理します。これにより、承認プロセスの効率化に加えて、以下の効果が期待でき、ROIをさらに高めます。
- 監査時に必要な文書を瞬時に検索・提出でき、監査対応コストを削減。
- 文書のバージョン管理やアクセス制御を徹底し、コンプライアンスを強化。
ナレッジ統合とAI活用が生む、圧倒的なROI
さらに、申請業務は、社内の規程やマニュアルといった「ルール文書」や、過去の類似申請といった「ナレッジ」に基づいて行われます。
統合型ワークフローは、これらの関連文書やナレッジもすべてプラットフォーム上で統合管理します。そして、この統合されたナレッジベースをエージェント型AIが活用することで、ROIは飛躍的に向上します。
- AIによる問い合わせ対応:「この経費はどの勘定科目?」といった質問にAIが即座に回答し、経理部門の負担を軽減。
- AIによる入力・判断サポート:過去の申請データを基に、申請内容の不備を指摘したり、適切な承認ルートを提案したりすることで、手戻りやミスを根本からなくす。
このように、システムの対象範囲が広がるほど、削減できるコストや時間は増大し、ROIは大きくなります。
【FAQ】このセクションに関するよくある質問
A. 一般的にはその傾向がありますが、ジュガールワークフローのように、技術革新と戦略的な価格設定により、文書ライフサイクル管理やAI活用といった高度な機能を、従来のシステムと変わらない、あるいはそれ以下のコストで提供する「統合型」も登場しています。TCO(総所有コスト)と得られる効果の全体像で比較することが重要です。
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【実践編】ROI算出を成功させるガイド|計測と説得の技術
「ROIの重要性は分かったが、具体的にどう計算すればいいのか分からない」。そんな方のために、ROI算出を成功に導くための具体的なステップと、算出した数値を武器に関係者を巻き込むためのポイントを解説します。
なぜ、まずROIを算出するのか?
システム導入の検討時、多くの企業では機能比較から入ってしまいます。しかし、その前にROIを試算することには、プロジェクトの成否を左右するほどの大きなメリットがあります。
- 客観的な「共通言語」が手に入る:ROIは、システム導入を「よく分からないコスト」から「利益を生む投資」へと位置づけるための、経営層や他部門にも通じる共通言語です。「このシステムは便利です」という主観的な説明よりも、「この投資は年間〇〇万円の利益を生み、2年で回収できます」という客観的な数値の方が、圧倒的に説得力を持ちます。
- プロジェクトの目的が明確になる:ROIを算出する過程で、現状のどこに、どれだけのコスト(時間・費用)がかかっているのかが可視化されます。これにより、導入プロジェクトが目指すべきゴールが明確になり、関係者間の目的意識を統一できます。
ROI算出の4ステップ(簡便法)
完璧な計測を目指す必要はありません。まずは概算でも数値を出すことが重要です。以下のステップで、現実的なROIを算出してみましょう。
ステップ1:対象業務を選ぶ
全社一斉ではなく、まずは効果が見えやすい業務に絞ります。経費精算、稟議、休暇申請などが一般的です。
ステップ2:現状のコストを把握する(As-Is分析)
- 人件費(時間)の計測:
- 簡便法: 対象業務の担当者数名にヒアリングし、「1件あたり平均で何分かかっているか」を自己申告してもらいます。この際、以下の項目を分解して聞くと、より実態に近い数値を把握できます。
- 書類の作成・入力にかかる時間
- 添付資料(領収書など)の準備や糊付けにかかる時間
- 承認者への手渡しや、進捗確認にかかる時間
- 差し戻しがあった場合の修正にかかる時間
- ルールが分からず、上長や管理部門に問い合わせる時間
- 概算の算出: (ヒアリングした平均時間) × (月間処理件数) × (担当人数) で、現状の月間総作業時間を算出します。
- 直接コスト(費用)の計測:
- 経理部門に協力を依頼し、過去の帳簿から用紙代、プリンターのカウンター料金、郵送費、書類保管スペースの賃料などの実績値を取得します。
ステップ3:導入後の効果を予測する(To-Be分析)
システム導入によって、ステップ2で算出したコストが「何%削減できるか」という仮説を立てます。ベンダーが公開している導入事例などを参考にしつつ、「作業時間を50%削減」「印刷費を80%削減」といった現実的な目標を設定します。
ステップ4:ROIを計算し、ストーリーを組み立てる
算出した数値を基に、経営層が判断しやすいストーリーにまとめます。
説得ストーリーの例:
「現状、経費精算業務には年間〇〇時間(人件費換算で△△万円)と、印刷・郵送費で□□万円、合計でXXX万円のコストが発生しています。新システムの導入により、これらのコストを50%削減できると見込まれ、年間でYYY万円の利益が期待できます。初期投資ZZZ万円は、約1.5年で回収可能です。さらに、内部統制の強化といった数値化できないメリットも享受できます。」
このように、客観的な数値に基づいたストーリーは、システム導入を成功に導く強力な推進力となります。
ROIを最大化に導く3つの戦略的アクションプラン
ワークフローシステムのROIは、導入して終わりではありません。導入前から導入後までの一貫した戦略を持つことで、その価値を持続的に高めていくことができます。「計画」「実行」「改善」の3つのフェーズで、ROIを最大化するためのポイントを解説します。
ポイント1:【導入前】目的の明確化と最適なシステム選定
導入前の計画段階の質が、ROIの大きさを左右します。
- 目的を具体的に設定する:「ペーパーレス化したい」という漠然とした目的ではなく、「稟議の承認リードタイムを平均4日から1日以内に短縮する」「経費精算の差し戻し率を15%から3%未満にする」といった定量的で具体的な目標を設定します。
- 自社に最適なシステムを選ぶ:機能の多さだけでなく、以下の点を重視します。
- 操作性(UI/UX):ITに不慣れな従業員でも直感的に使えるか。無料トライアルで現場の従業員に評価してもらうことが不可欠です。
- 拡張性と柔軟性:将来の組織変更や業務プロセスの見直しに、現場の担当者が柔軟に対応できるか。
- サポート体制:導入後に安心して運用を続けられる、手厚いサポートが提供されているか。
ポイント2:【導入・定着】スモールスタートと丁寧なコミュニケーション
全社を巻き込み、新しいシステムを組織に定着させることが重要です。
- スモールスタートで成功体験を積む:最初から全社一斉に導入するのではなく、特定の部門や業務から小さく始め、成功体験を積み重ねながら段階的に展開します。これにより、リスクを最小化し、全社導入への抵抗感を和らげます。
- 目的とメリットを繰り返し伝える:「なぜ導入するのか」「あなたの業務がどう楽になるのか」を丁寧に説明し、従業員の不安を払拭します。操作研修会や動画マニュアルなど、手厚い教育コンテンツも有効です。
ポイント3:【導入後】データ活用による継続的な改善(PDCA)
導入はゴールではなく、継続的な業務改善のスタートです。
- 利用状況をデータで可視化する:多くのワークフローシステムには、業務プロセスに関するデータを分析するレポート機能があります。「どの申請が、誰のところで、どれだけ滞留しているか」「どの申請書の差し戻しが多いか」といったデータを活用し、業務のボトルネックを特定します。
- PDCAサイクルを回す:データ分析で得られた課題(Check)に基づき、改善計画(Plan)を立て、実行(Do)し、効果を評価(Action)するサイクルを回し続けます。例えば、「差し戻しが多い申請フォームの入力例を分かりやすく修正する」といった改善を継続的に行うことで、ROIは雪だるま式に向上していきます。
【FAQ】このセクションに関するよくある質問
A. 「導入そのものを目的にしないこと」です。システム導入は、あくまで業務課題を解決するための「手段」です。なぜ導入するのか、導入によって何を実現したいのか、という目的を経営層から現場まで全員で共有することが、最も重要です。目的が明確であれば、システム選定の軸がぶれず、導入後の活用もスムーズに進みます。
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まとめ:ROI分析を経営変革の羅針盤に
本記事では、ワークフローシステムの費用対効果(ROI)について、その計算方法から投資・効果の具体的な内容、そしてROIを最大化するための戦略的ポイントまでを解説しました。
重要なのは、ROIを一度きりの静的な数値として捉えるのではなく、企業の変革能力を測り、改善活動をドライブするための動的な経営指標として活用することです。
- コストの全体像を把握する:月額費用だけでなく、TCO(総所有コスト)の視点で投資額を正確に評価する。
- 効果の源泉を見極める:システムの「対象範囲」がROIを大きく左右することを理解し、自社の目的に合ったシステムを選ぶ。
- 改善サイクルを回し続ける:導入後のデータを活用し、PDCAサイクルを通じてROIを持続的に向上させていく。
これらのアプローチを通じてROI分析を行うプロセスは、自社の業務課題を浮き彫りにし、組織が次に向かうべき方向を示す「羅針盤」となります。
もし、貴社が「部分最適」のツール導入に限界を感じ、全社の生産性を最大化する真のDXを目指しているのであれば、ジュガールワークフローがその強力なエンジンとなります。ジュガールなら、このROI計算式の「効果額」に、本記事で解説した文書ライフサイクル管理による監査対応コストの削減額や、AIによる問い合わせ対応工数の削減額まで含めて算出できます。大企業レベルの提供価値を業界最安クラスの料金体系で実現することで、他社にはない圧倒的なROIを貴社にもたらします。
9. 引用・参考文献
- 経済産業省 (2020), 「DXレポート2(中間取りまとめ)」, 2025年8月1日閲覧.
- 株式会社アイ・ティ・アール (2024), 「ITR Market View:RPA/iPaaS/ワークフロー市場2024」, 2025年8月1日閲覧.
- 株式会社マネーフォワード (2023), 「経費精算システムに関する実態調査」, 2025年8月1日閲覧.
- 株式会社エイトレッド (2022), 「稟議申請に関する実態調査」, 2025年8月1日閲覧.
- 総務省 (2021), 「地方公共団体におけるテレワーク推進のための手引き」, 2025年8月1日閲覧.