ワークフローシステム講座

日々の業務プロセスに課題を感じている方へ向けて、ワークフローシステムの選び方から業務改善の確かなヒントまで、完全網羅でお伝えします。

ワークフロー導入の第一歩|失敗しないための業務プロセスの棚卸し方法

目次

この記事のポイント

  • なぜ、ワークフロー導入前に「業務プロセスの棚卸し」が不可欠なのか、その戦略的価値
  • 失敗しない業務棚卸しの具体的な進め方【5つの詳細ステップ】
  • 現場担当者から本音を引き出し、味方になってもらう効果的なヒアリング方法
  • 洗い出した膨大な業務から改善すべき点を絞り込む、4つの分析フレームワーク
  • 棚卸しの結果を、システム選定の判断基準となる「要件定義」に活かす方法

「何から始めれば…」その不安、解消できます。業務棚卸しが最初の道しるべ

結論から言うと、ワークフローシステム導入担当者が抱える漠然とした不安を解消し、プロジェクトを成功に導くための最初の、そして最も重要な一歩が「業務プロセスの棚卸し」です。

「会社からワークフローシステム導入の担当者に任命されたけれど、何から手をつけていいか全くわからない…」

「ITの専門知識がないのに、本当にうまく進められるだろうか?」

もし、あなたが今このような不安を抱えているなら、ご安心ください。その気持ちは、多くの担当者が最初に経験する、ごく自然なものです。

さらに、こんな経験はありませんか?

「このシステムを導入すれば、絶対にみんなの仕事が楽になるはずだ!」

そんな熱意とは裏腹に、他部署からは「今のやり方で困ってない」「新しいことを覚えるのが面倒だ」といった、予想外の冷めた反応が返ってくる…。

多くの担当者が、この「熱意と現場の温度差」に悩みます。しかし、それはある意味、当然の反応かもしれません。なぜなら、現場の担当者にとって、それは「自分の仕事がどう変わるかわからない」という不安の裏返しだからです。

このギャップを埋め、全員を味方につける最強の武器こそが、客観的な事実に基づいた「業務プロセスの棚卸し」なのです。この作業は、いわば会社の業務における「健康診断」。組織内に隠れている「ムリ・ムラ・ムダ」といった”不調”の原因を、関係者全員が納得できる形で発見し、的確な”治療方針”(=業務改革の方向性)を立てるための、極めて重要な活動なのです。

この記事を読み終える頃には、あなたの「何から始めればいいか分からない」という不安は、「次に何をすべきか」という明確な行動計画に変わっているはずです。

【関連情報】

まずはワークフローシステムの全体像を掴みたい方、他の選択肢も知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

>> 統合型ワークフローシステムとは?選び方・比較検討方法まで詳細解説!【2025年最新版】

【完全ガイド】「物品購入稟議」を例に、業務棚卸しの5ステップを体験しよう

ここからは、より具体的にイメージしていただくために、多くの会社で日常的に行われている「物品購入稟議」をケーススタディとして、業務棚卸しの5つのステップを一緒に体験していきましょう。専門的に聞こえるフレームワークも、この具体例に沿って一つひとつ丁寧に解説しますので、ご安心ください。

Step1:プロジェクトの設計図を描く(計画フェーズ)

このステップの目的は、プロジェクトの全体像と進め方を定義し、関係者全員の目線を合わせることです。 ここでしっかりとした計画を立てることが、後の工程をスムーズに進めるための鍵となります。

1. 目的と範囲を明確にする

まず、「何のために、どこまでの業務を棚卸しするのか」というゴールと範囲を定めます。

  • 目的の設定(例:物品購入稟議の場合)
  • NG例 「物品購入稟議を効率化する」

  • OK例
  • 「申請から決裁までのリードタイムを、平均5営業日から2営業日に短縮する」
  • 「書類不備による差し戻し率を、現在の15%から5%未満に削減する」
  • 「決裁後の発注・支払処理にかかる経理部門の作業時間を月10時間削減する」
    このように、具体的な数値目標を立てることがポイントです。
  • 範囲の決定
    今回は「物品購入稟議」に絞りますが、さらに「10万円以下の備品購入に限定する」など、最初はより小さな範囲から始めるのが、プロジェクトを確実に成功させるコツです。

2. プロジェクト体制を構築する

次に、プロジェクトを推進するためのチームを作ります。役割分担を明確にすることが、責任の所在をはっきりさせ、プロジェクトを円滑に進める上で非常に重要です。

  • プロジェクトマネージャー(PM):プロジェクト全体の計画、進捗、予算に責任を持つリーダー。経営層や各部門長との調整役も担います。
  • プロジェクトリーダー(PL):棚卸しチームの現場責任者。日々のタスク管理やメンバーへの指示、問題解決を担当します。
  • プロジェクトメンバー:対象となる業務部門から選出された、実務に精通した担当者。実際のヒアリングや資料作成を行います。

さらに、各タスクに対して誰がどのような責任を持つかを明確にするために、「RACI(レイシー)チャート」を作成すると非常に効果的です。これは、後々の「言った言わない」「誰がやるべきだったか」という混乱を防ぐための、非常に有効なコミュニケーションツールです。

▼図表1:RACIチャートの例(業務棚卸しプロジェクト)

タスクプロジェクトスポンサーPM(マネージャー)PL(リーダー)チームメンバー業務部門長
プロジェクト目的・範囲の定義ARCIC
ヒアリングシートの作成IARCC
〇〇部門へのヒアリング実施IIARC
業務フローチャートの作成IIARI
課題分析と改善案の立案IARRC
最終報告書の作成・提出ARCCI
  • R (Responsible): 実行責任者
  • A (Accountable): 説明責任者(最終的な責任者)
  • C (Consulted): 協業先(相談・情報提供を受ける)
  • I (Informed): 報告先(進捗や結果の報告を受ける)

Step2:現場に眠る「生きた情報」を掘り起こす(情報収集フェーズ)

このステップの目的は、机上の空論ではない、現場のリアルな業務実態を正確に把握することです。 ここで集める情報の質が、プロジェクト全体の質を左右します。大切なのは、「調査する」という姿勢ではなく、「教えてもらう」という謙虚な姿勢で現場の声に耳を傾けることです。

1. ヒアリングの具体的な進め方と質問例

「物品購入稟議」に関わる担当者(申請者、承認者、経理担当者)それぞれに、以下のような質問を投げかけてみましょう。

【申請者(各部署の一般社員)への質問例】

  • 「新しいPCを購入したい時、まず何から始めますか?」
  • 「申請書はどこにあるテンプレートを使っていますか? もし無ければ、どうやって作成していますか?」
  • 「申請書を書いてから、承認されて実際に購入できるまで、大体何日くらいかかっていますか?」
  • 「申請で一番面倒だと感じるのは、どの部分ですか?(例:相見積もりの取得、スペックの調査など)」
  • 「書類の不備で差し戻された経験はありますか? それはどんな理由が多かったですか?」

【承認者(各部署の管理職)への質問例】

  • 「部下から物品購入稟議が上がってきた際、主にどのような点をチェックしていますか?」
  • 「承認作業は、一日にどれくらいの時間がかかっていますか?」
  • 「外出先や出張中に承認が滞ってしまうことはありませんか?」
  • 「承認する際に、『もっとこういう情報が欲しい』と感じることはありますか?」
  • 「過去の購入履歴や、他の部署の購入実績などを参考にしたいと思ったことはありますか?」

【処理担当者(経理・総務部門)への質問例】

  • 「決裁済みの稟議書を受け取った後、どのような処理を行っていますか?(例:発注、支払処理、資産台帳への登録など)」
  • 「申請内容に不備があって、申請部署に問い合わせることは、月に何件くらいありますか?」
  • 「決裁済みの稟議書は、どのように保管していますか? 後から探すのに苦労しませんか?」
  • 「月末など、処理が集中して大変な時期はありますか?」

2. 「業務棚卸し表」で情報を整理する

ヒアリングで得られた「生きた声」を、以下の「業務棚卸し表」に記録していきます。

▼図表2:業務棚卸し表(物品購入稟議の詳細例)

業務領域大分類業務名(タスク)担当部署担当者発生頻度平均作業時間(分/回)使用ツール/システムインプット(きっかけ)アウトプット(成果物)課題・問題点(ヒアリング結果)
購買物品購入①相見積もりの取得申請部署申請者随時30Web、電話物品購入の必要性発生見積書3通業者を探すのが手間。Webサイトによってフォーマットがバラバラ。
購買物品購入②稟議書の作成申請部署申請者随時15Excel見積書物品購入稟議書サーバーにある最新テンプレートがどれか分かりにくい。過去の稟議をコピーして使い回しており、項目が古いことがある。
購買物品購入③上長への承認依頼申請部署申請者随時5紙、社内便物品購入稟議書承認印のある稟議書上長が不在だと承認が滞る。印刷してハンコをもらうためだけに出社することがある。
購買物品購入④経理部門への提出申請部署申請者随時5社内便承認印のある稟議書(なし)経理部に届いたかどうかが分からない。
経理支払処理⑤内容確認と支払処理経理部経理担当月末集中20会計システム決裁済み稟議書支払伝票勘定科目が間違っていることが多い。添付された見積書が不鮮明で確認に時間がかかる。
経理資産管理⑥資産台帳への登録経理部経理担当月末集中10Excel決裁済み稟議書資産管理台帳稟議書を見ながらExcelに手入力しており、転記ミスが発生するリスクがある。

Step3:業務の流れを「誰もが見える形」にする(可視化フェーズ)

このステップの目的は、集めた情報を図に起こし、関係者全員が業務の全体像と問題点を直感的に理解できるようにすることです。 「百聞は一見に如かず」と言いますが、複雑な業務も図にすることで、驚くほど分かりやすくなります。

1. フローチャートで現状(As-Is)の業務を描く

まず、ヒアリング結果を元に、現在の業務フロー(As-Isモデル)をありのままに描いてみましょう。

▼図表3:現状の物品購入稟議フローチャート(As-Isモデル)

  • 申請者
  • Webサイト等で相見積もりを3社から取得
  • Excelで稟議書を作成
  • 稟議書と見積書を印刷
  • 上長の席まで持って行き、押印を依頼

  • 上長
  • 内容を紙で確認し、押印
  • (不在の場合、机に書類が溜まり、プロセスが停滞)

  • 申請者
  • 押印済みの稟議書を経理部へ社内便で送付

  • 経理担当
  • 社内便で届いた書類を確認
  • (不備があれば、電話やメールで申請者に問い合わせ)
  • 会計システムに手入力で支払伝票を作成
  • Excelの資産管理台帳に手入力で登録

この図を見るだけで、「印刷」「押印」「社内便」「手入力」といった、非効率なアナログ作業や、承認の滞留ポイントが誰の目にも明らかになります。 これが、現場の担当者に「今のやり方は、確かに面倒かもしれない」と感じてもらうための、強力な客観的証拠となります。

2. 【応用編】BPMNでより正確にプロセスを描く

より複雑な業務や、システム化を前提とした厳密なプロセスを描きたい場合は、「BPMN(ビジネスプロセスモデリング表記法)」という国際標準の表記法を使うと非常に有効です。

「専門的で難しそう…」と感じるかもしれませんが、BPMNはビジネス部門とIT部門が共通の言葉で対話するためのツールであり、基本的なルールさえ覚えれば、誰が描いても同じ意味に解釈できる、非常に強力な可視化手法です。

▼図表4:BPMNの基本要素

カテゴリ要素アイコン例説明
フローオブジェクトイベント⚪️プロセスの開始や終了を示す。
アクティビティ実行される作業やタスク。
ゲートウェイプロセスの分岐や合流を制御する。
接続オブジェクトシーケンスフローアクティビティの実行順序を示す。
スイムレーンプール/レーン誰が(どの部署が)その作業を行うか、責任範囲を明確にする。

BPMNを使うことで、部門間の責任の受け渡しが明確になり、システム開発者への要件伝達もスムーズになります。

Step4:データに基づき「やるべきこと」を見極める(分析・優先順位付けフェーズ)

このステップの目的は、可視化された業務の中から、最も改善効果が高く、優先的に取り組むべき課題を客観的なデータに基づいて特定することです。

1. 改善の切り口を見つける「ECRS(イクルス)」

現状のフローチャートを見ながら、この4つの視点で改善案を洗い出してみましょう。

【「物品購入稟議」をECRSで分析する例】

  • E (Eliminate):排除 → 「そもそも、5万円未満の定型的な購入は、稟議自体をなくして、部署内の予算で事後報告にできないか?」
  • C (Combine):結合 → 「稟議申請と、経理への支払依頼を一つのプロセスにまとめられないか?」
  • R (Rearrange):再配置 → 「先に経理が勘定科目などをチェックしてから、最終承認者が金額の妥当性を判断する順番に変えられないか?」
  • S (Simplify):単純化 → 「Excelの自由入力ではなく、システム上で購入品目を選択式にして、入力を簡単にできないか?」

2. 改善対象を絞り込む「ABC分析」

これは、業務を重要度に応じてA・B・Cの3つのグループに分類し、最も改善効果の高い「Aグループ」にリソースを集中させるための手法です。(パレートの法則「成果の8割は2割の要因が生み出す」がベース)

  • Aグループ(最重要):発生頻度が高く、手間も大きい業務。(例:経費精算、稟議書)→ ワークフロー化の最優先候補
  • Bグループ(中程度):定期的に発生するが、Aグループほどではない業務。→ 次期改善候補
  • Cグループ(軽微):発生頻度が低く、影響も少ない業務。→ 自動化のコストに見合わない可能性が高い

3. 投資対効果を測る「ROI分析」と「インパクト・エフォートマトリクス」

最終的な優先順位を決めるために、財務的な視点と実行の容易さを加味します。

  • ROI(投資収益率):ROI(%) = (導入による利益 – 投資コスト) ÷ 投資コスト × 100
  • 利益:削減できた人件費、ミスの減少による損失回避額など。
  • 投資コスト:システムのライセンス費用、導入支援費用、研修時間など。
  • インパクト・エフォートマトリクス:縦軸に「改善効果(インパクト)」、横軸に「実行の手間(エフォート)」を取り、各改善案を分類します。まず取り組むべきは、右上の「効果が大きく、手間が少ない(Quick Win)」施策です。

▼図表5:自動化優先順位付けマトリクス(総合評価例)

候補プロセスABC分類主要課題推定ROI (%)導入工数総合優先度
経費精算申請A月平均5営業日の遅延、20%の差し戻し率150%
新規取引先登録A属人化によるボトルネック、承認プロセスの不透明性120%
顧客クレーム対応B部門間連携の遅れによる対応時間超過80%
社内報作成C手作業が多く非効率だが、発生頻度は月1回30%

Step5:システム選定の「揺るぎない物差し」を作る(要件定義フェーズ)

このステップの目的は、これまでの分析結果を元に、導入するシステムが満たすべき条件を文書化し、システム選定で迷わないための「揺るぎない物差し」を作ることです。

  • 要件定義書を作成する「絶対に譲れない条件(必須要件)」と「できれば欲しい条件(希望要件)」に分けて、具体的な機能をリストアップします。
  • 例:「物品購入稟議」の要件定義
  • 必須要件
  • Webブラウザから、見積書などのファイルを添付して申請できる。
  • 申請金額に応じて、承認者が自動で追加される(例:10万円以上は部長承認)。
  • 承認者が不在の場合、代理の承認者を設定できる。
  • スマートフォンやタブレットからも承認作業ができる。
  • 決裁が完了したら、経理部に自動で通知が飛ぶ。
  • 希望要件
  • 過去の購入履歴を検索・参照できる。
  • よく購入する物品は、マスタから選択するだけで申請できる。
  • 会計システムとAPI連携し、支払伝票が自動で作成される。

この要件定義書があれば、各システムベンダーの提案を客観的に比較・評価し、自社の課題を本当に解決できるツールを選ぶことができるのです。

【関連情報】

棚卸しと並行して、導入プロジェクトを成功させるためのポイントも確認しておきましょう。

>>ワークフロー導入が失敗する7つの原因と、成功に導くための対策

>> ワークフローシステムが定着しない理由と導入を成功させる5つのステップ

業務棚卸しは、いかにしてワークフロー導入の失敗を防ぐか?

結論として、徹底した業務棚卸しは、ワークフロー導入時によくある典型的な失敗要因に対する、直接的かつ最も効果的な「解毒剤」として機能します。

なぜなら、多くの失敗は技術的な問題ではなく、その前段階である「準備不足」と「現状認識の甘さ」から生じているからです。

▼図表6:ワークフロー導入の失敗原因と棚卸しによる解決策

よくある失敗原因(毒)業務棚卸しによる解決策(解毒剤)
① システムのミスマッチ「多機能そうだから」と選んだら、自社の複雑な承認ルールに対応できず、結局手作業が残ってしまった。棚卸しで作成した詳細な「要件定義書」が、自社に最適なツールを選ぶための「明確な物差し」になる。デモや機能一覧表だけでは見えない、現場のリアルなニーズに基づいた判断が可能になる。
② 現場の抵抗とシステムの形骸化「使い方が難しい」「前のやり方の方が楽」と現場が反発し、誰も使わなくなり、高価なシステムが放置されている。棚卸しのヒアリングやワークショップのプロセスを通じて、現場の担当者を早期に巻き込むことができる。彼らの意見が反映されたシステムは、導入後の納得感が高く、「自分たちのためのツール」として利用が定着しやすい。
③ 連携の悪夢と二度手間地獄新しいシステムが既存の人事システムや会計システムと連携できず、結局データを手作業で再入力する羽目になり、かえって手間が増えた。棚卸しによって、プロセス内で使用されているすべてのシステム、帳票、データが特定される。これにより、新しいシステムに求められる連携要件の明確なリストが作成され、システム評価の際の重要な判断基準となる。
④ 費用対効果が出ない「なんとなく効率化された気はするが、どれだけコストが削減できたのか、経営層に具体的に説明できない…」棚卸しによって「どの業務に、どれだけの時間(人件費コスト)がかかっているか」が定量的に把握できる。これにより、導入後のROI(投資対効果)を具体的に測定し、プロジェクトの価値を客観的な数値で証明することが可能になる。

結局のところ、ワークフローシステムは魔法の杖ではありません。自社の業務プロセスという土壌がしっかりと整備されていて初めて、その効果を最大限に発揮できるのです。業務棚卸しは、その土壌を耕し、豊かにするための、最も確実で重要な作業と言えるでしょう。

【関連情報】

棚卸しで明確になった課題を元にシステムを選ぶ際には、以下の視点も重要になります。

>>ワークフローシステムのUI/UXが重要な理由|現場が本当に使いたいツールの条件

>>ワークフローシステムの費用対効果(ROI)とは?計算方法と最大化するポイント

>>ワークフローシステムのセキュリティ|7つのリスクとRBACにもとづく鉄壁の防御策

まとめ:業務プロセスの棚卸しは、未来の働き方をデザインする設計図

今回は、ワークフローシステム導入を成功させるための第一歩として、「業務プロセスの棚卸し」の重要性と、その具体的な進め方を詳細に解説しました。

  • 業務棚卸しは、現状を可視化し、属人化や非効率といった課題を特定するために不可欠。
  • 「計画」→「情報収集」→「可視化」→「分析」→「要件定義」の5ステップで進めることで、着実に成果を出せる。
  • 棚卸しの結果は、自社に最適なシステムを選び、導入失敗のリスクを最小化するための羅針盤となる。

業務プロセスの棚卸しは、一見すると地道で時間のかかる作業に思えるかもしれません。しかし、この丁寧な準備こそが、導入プロジェクトの成否を分け、ひいては会社全体の生産性を向上させるための最も確実な投資です。このプロセスは、単なる現状把握に留まらず、「私たちの会社は、本来どうあるべきか」という理想の働き方を、現場の従業員一人ひとりと共に考え、デザインしていく創造的な活動なのです。

そして、この丁寧な棚卸しによって明確になった課題を解決し、業務プロセス全体を滑らかにつなぐのが、次世代の統合型ワークフローシステムの役割です。ジュガールワークフローは、文書管理からデータ活用まで、分断された業務を有機的に連携させます。現場主導の改善を可能にする柔軟性と、企業の成長を支える強固な基盤を両立し、あなたの会社が本来やるべき創造的な仕事に集中できる環境を実現します。

【次のステップへ】

業務棚卸しの次は、いよいよ具体的なシステム選定のフェーズです。改めて、自社に最適なワークフローシステムとは何か、以下の記事で理解を深めましょう。

>>統合型ワークフローシステムとは?選び方・比較検討方法まで詳細解説!【2025年最新版】

引用・参考文献

  1. 総務省 (2021), 『令和3年版 情報通信白書』, “第1部 特集 デジタル化の進展がもたらす経済社会へのインパクト”
  2. 独立行政法人情報処理推進機構(IPA) (2023), 『DX白書2023』, “第3部 デジタル時代の人材”
  3. Gartner, “Top Strategic Technology Trends 2024”, (参照 2025-08-01)
  4. パーソル総合研究所 (2022), “「企業の業務プロセス」に関する定量調査”, (参照 2025-08-01)
  5. 株式会社アイ・ティ・アール (2024), “ITR Market View:ワークフロー市場2024”
川崎さん画像

記事監修

川﨑 純平

VeBuIn株式会社 取締役 マーケティング責任者 (CMO)

元株式会社ライトオン代表取締役社長。申請者(店長)、承認者(部長)、業務担当者(経理/総務)、内部監査、IT責任者、社長まで、ワークフローのあらゆる立場を実務で経験。実体験に裏打ちされた知見を活かし、VeBuIn株式会社にてプロダクト戦略と本記事シリーズの編集を担当。現場の課題解決に繋がる実践的な情報を提供します。