稟議とは?稟議の目的と意味、プロセスについて詳細解説!

稟議とは?稟議の目的と意味、プロセスについて詳細解説!
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はじめに

稟議は、日本の企業文化における重要な意思決定プロセスです。本記事では、稟議の定義、目的、メリット、プロセス、そしてワークフローシステムを活用した稟議プロセスの改善について詳しく解説します。

稟議とは?

稟議の定義

稟議とは、企業内での意思決定を行うためのプロセスです。具体的には、提案や計画を関係者に回覧し、意見を集めて承認を得る手続きを指します。このプロセスを通じて、組織全体の透明性と一貫性を確保することができます。稟議は日本企業で広く使われている方法で、組織の多くの部門が一体となって意思決定を行うための重要な手段です。

稟議についてわかりやすく解説

稟議(りんぎ)という言葉をはじめて聞く方に向けてかみ砕いて解説をすると「みんなで意見を出し合って決めるための仕組み」です。

例えば、会社で新しいプロジェクトを始めたいとします。このとき、プロジェクトの提案を紙や電子文書にまとめて、関係者全員に回覧します。回覧された関係者は、その提案について自分の意見を述べたり、質問をしたりします。そして、全員の意見を集めた上で、最終的に「このプロジェクトをやりましょう」とか「もう少し検討が必要です」といった決定をします。

このようにして、多くの人の意見を取り入れて意思決定を行うのが稟議です。稟議を行うことで、決定内容が透明で、全員が納得した上で物事が進むようになります。また、稟議を通じて、会社全体の方向性や方針を一致させることができるため、大切なプロセスと言えます。

稟議の歴史と背景

稟議制度は、江戸時代の幕府や藩の行政手続きに由来し、日本企業の意思決定プロセスに深く根付いています。江戸時代には、将軍や大名が重要な決定を行う際に、家臣たちの意見を聞き、それをまとめて意思決定を行っていました。この過程では、譜代の家臣だけでなく外様の家臣も含め、方針や意見の一致を図り、平和を保つために行われていました。トップダウンでの決定ではなく、家臣間の議論による合意形成が重視されていたのです。この伝統が明治政府で制度化され、現代の企業にも受け継がれています。

現代企業における稟議

現代の企業では、稟議制度は重要な意思決定プロセスの一部として機能しています。例えば、新製品の開発、大規模な設備投資、人材採用、取引先との契約締結など、多くの重要な意思決定が稟議を通じて行われます。これにより、関係者全員が意見を述べ、合意を得ることで、組織全体の透明性と一貫性を保つことができます。

会社が大きくなるほど、全社的な方針や状況が見えづらくなり、部署ごとの利益や効率が優先されることが多くなります。このような状況では、トップダウン形式で会社の合意を作ることが効率的ですが、日常的にミドル層からの議論や対話を重ねることで、部分的な最適化を避けることができます。これが稟議プロセスの主旨と言えるでしょう。

稟議が必要になるシーン

稟議は、重要な意思決定を行う際に必要とされます。例えば、新製品の開発、設備投資、人材採用、取引先との契約締結などが該当します。これらの決定は、金額的な重要度が高く(金額が大きい、または継続的な支出を伴う、組織全体に影響を与える)、慎重な検討と承認が求められます。このような場面では、関係者全員の意見を集めることで、より良い意思決定が可能になります。

一方で、稟議プロセスは多くの人の時間を要するため、すべての件を稟議対象とするのは大変です。ある程度判断が定型化できるものについては、規程に基づいて判断基準を定め、事前に予算として利用可能枠を確保するなどして、担当部署へ権限委譲し、申請ベースで処理するのが一般的です。

具体的にどのような事項を稟議の対象とするかについては、「稟議規程」や「職務権限規程」によって定めます。

稟議の具体的なプロセス

稟議 プロセス
稟議 プロセス

稟議プロセスは、ミドルアップダウンの流れで進行します。現場の状況や最前線の情報を把握しているミドル層が会社全体の売上や利益を意識しつつ稟議を起案し、関係部署を巻き込みながら承認プロセスを進めていき、最終的にトップ(経営層)が決裁したものが、再び実行指示として起案者の元に戻ってくる流れです。

①起案

稟議プロセスの最初のステップは起案です。提案者が稟議書を作成し、必要な情報を記載します。稟議書には、提案の目的、背景、必要な資源、予想される結果などが含まれます。

  • 提案の目的: 提案の目的は、稟議書の核心部分であり、何を達成したいのかを明確に記述します。例えば、新製品の開発、コスト削減、新規市場への進出など、具体的な目標を設定します。
  • 背景: 提案の背景には、現状の課題や問題点、提案に至った経緯を詳述します。これにより、関係者が提案の重要性や必要性を理解しやすくなります。
  • 必要な資源: 提案を実現するために必要な資源や予算、人員、設備などを具体的に記述します。これにより、提案の実現可能性が評価されます。
  • 予想される結果: 提案が実現された場合の期待される結果や成果を明確に示します。例えば、売上増加、コスト削減、業務効率化など、具体的な成果を予測します。

②回覧

起案された稟議書は関係者に回覧されます。このステップでは、関係者が内容を確認し、意見を述べます。回覧は、関係者全員の意見を収集するために重要です。

  • 関係者の選定: 稟議書を回覧する関係者を選定します。関係者には、提案の影響を受ける部門や、提案の実現に必要なリソースを提供する部門の代表者が含まれます。
  • 意見の収集: 回覧された稟議書に対して、関係者が意見を述べます。意見には、提案の強化点や改善点、懸念事項などが含まれます。これにより、提案の質が向上します。
  • フィードバックの統合: 収集された意見を基に、稟議書を修正・補完します。これにより、関係者全員が納得する形で提案がまとめられます。また、修正・補完の際には、以下のポイントを考慮します。
    • 具体的な提案内容の修正: 提案内容が曖昧な場合、具体的な詳細を追加し、明確化します。例えば、「新しいマーケティング戦略の実施」という提案があれば、具体的な施策や期待される成果を詳述します。
    • 必要なリソースの調整: 提案に対して必要なリソース(予算、人員、設備など)が過大または不足している場合、関係者の意見を反映して適切なリソースを調整します。
    • リスクの評価と対策: 提案内容に伴うリスクが指摘された場合、そのリスクを評価し、対策を提案に組み込みます。例えば、新規事業のリスクが高いと指摘された場合、そのリスクを軽減するための具体的な対策を盛り込みます。

③根回し

非公式なステップですが、稟議を円滑に進めるためには、事前に関係者との根回しが重要です。根回しにより、稟議書が回覧された際にスムーズに承認が得られるようになります。

  • 関係者の特定: 稟議書の内容に影響を受ける、または承認が必要な全ての関係者を特定します。これには、直接的に関わる部門の責任者や、提案の実施に必要なリソースを提供する部門の代表者などが含まれます。
  • 事前説明: 関係者に対して、提案内容を事前に説明します。これは、正式な稟議書を提出する前に行い、関係者が提案の意図や背景を理解することを目的とします。事前説明の際には、提案の目的、背景、期待される結果、必要な資源などを詳細に説明し、関係者の理解を深めます。
  • 意見の収集: 事前説明の段階で、関係者からの意見や質問を収集します。これにより、稟議書を正式に提出する前に、関係者の懸念点や改善点を把握し、提案内容を調整することができます。
  • フィードバックの反映: 収集した意見やフィードバックを基に、稟議書を修正・補完します。これにより、関係者全員が納得しやすい形で提案がまとまります。また、事前に関係者の意見を反映することで、正式な稟議プロセスがスムーズに進行します。

④承認

回覧された稟議書に対して、関係者が承認を行います。承認プロセスでは、各関係者が内容を確認し、必要に応じてコメントや修正を加えます。承認が得られることで、提案内容が正式に認められます。

  • 内容の確認: 関係者が稟議書の内容を詳細に確認します。これには、提案の目的、背景、必要な資源、予想される結果などが含まれます。関係者は、これらの情報を基に、提案が適切かどうかを判断します。
  • コメントと修正: 関係者は、必要に応じて提案内容に対してコメントや修正を加えます。これにより、提案の精度が向上し、実現可能性が高まります。例えば、提案の目的が不明確な場合には、具体的な目標を設定するように修正を依頼することがあります。
  • フィードバックの統合: 収集されたコメントや修正を基に、稟議書を最終的に調整します。これにより、関係者全員が納得する形で提案がまとめられます。また、関係者の意見を反映することで、提案の実現に向けた協力が得られやすくなります。
  • 正式な承認: 調整が完了した稟議書に対して、関係者が正式に承認を行います。承認が得られることで、提案内容が正式に認められ、実行に移される準備が整います。

⑤決裁

決裁者が提案を正式に承認し、決裁を行います。これにより、提案内容が正式に認められ、実行に移される準備が整います。

  • 最終確認: 決裁者は稟議書の内容を詳細に最終確認します。これには、提案の目的、背景、必要な資源、予想される結果などが含まれます。決裁者は、これらの情報を基に、提案が組織全体の目標や戦略に一致しているかどうかを判断します。
  • リスク評価: 決裁者は提案の実現可能性やリスクを総合的に評価します。これには、提案の成功可能性、組織への影響、必要なリソースの確保状況などが含まれます。決裁者は、これらの要素を総合的に考慮して最終決定を下します。
  • 決裁の記録: 決裁の結果は正式な記録として残されます。これにより、後から決裁の過程や判断基準を検証することが可能となり、組織の透明性と信頼性が向上します。

⑥稟議と紐づけた実行報告

決裁が下りた後、提案内容が実行に移されます。実行後には、稟議書に基づいた実行報告が行われ、結果や進捗状況が関係者に共有されます。ミドルマネジメント層は、実行状況のモニタリングと報告を行い、組織全体のパフォーマンス向上を図ります。

  • 進捗報告: 提案内容の実行状況を定期的に報告します。これには、実行の進捗状況、達成された成果、発生した課題などが含まれます。進捗報告を通じて、関係者全員が提案の現状を把握し、必要な対応を迅速に行うことができます。
  • 結果の評価: 提案内容の実行結果を評価します。これには、提案の目標が達成されたかどうか、予想された成果が得られたかどうか、提案の実行によって発生した課題や問題点などが含まれます。結果の評価を通じて、提案の成功要因や改善点を把握し、今後の提案に活かすことができます。
  • フィードバックの反映: 実行報告を基に、提案内容やプロセスに対するフィードバックを収集し、次回の稟議プロセスに反映します。これにより、稟議プロセスの精度が向上し、提案の成功率が高まります。
  • モニタリングと調整: 実行状況を継続的にモニタリングし、必要に応じて調整を行います。これにより、提案の実現に向けたリスク管理や問題解決が迅速に行われ、提案の成功に繋がります。

稟議の目的とは?

組織全体の合意形成

稟議制度の主要な目的の一つは、組織全体の合意形成です。稟議書を通じて提案内容が関係者全員に共有され、各自の意見や承認を得ることで、組織全体の総意として意思決定が行われます。これにより、提案が実行に移された後も、全員が同じ方向を向いて行動することができます。

例えば、新製品の開発プロジェクトを進める際に、マーケティング部門、開発部門、製造部門の意見を集約し、稟議書を通じて全員の合意を得ることで、プロジェクトがスムーズに進行します。このように、稟議は組織全体の合意形成を助け、円滑な業務遂行を可能にします。

意思決定の質の向上

稟議を行うことで、複数の関係者が提案内容を吟味し、意見を出し合うため、意思決定の質が向上します。多角的な視点からの検討が行われることで、リスクの低減や提案の改善が図られます。例えば、新製品の開発において、マーケティング部門の意見を反映することで、市場ニーズに即した製品が開発される可能性が高まります。

また、提案内容に対して多様な視点からの意見を収集することで、盲点となりがちな問題点やリスクを早期に発見し、適切な対策を講じることができます。このプロセスにより、提案の質が向上し、成功率が高まります。

組織の透明性とガバナンスの強化

稟議プロセスは、組織の透明性とガバナンスを強化する役割も果たします。稟議書が関係者全員に回覧され、意見が収集されることで、意思決定プロセスが透明化されます。また、稟議書の内容や承認履歴が記録として残るため、後から意思決定の過程を検証することが可能です。

この透明性により、組織内の不正や誤解を防ぎ、信頼性の高い意思決定が行われることが期待できます。さらに、ガバナンスの強化により、組織全体のコンプライアンスが向上し、リスク管理が徹底されることとなります。

稟議の意味(メリット)とは?

ヒューマンエラーを防止し意思決定の質を向上させる

稟議を行うことで、ヒューマンエラーを防止し、意思決定の質を向上させることができます。さまざまな専門性・知識や情報を持つ人を巻き込んで会社としての意思決定を行うことで、特定の個人や部門の意見が過度に影響を与えることを防ぎます。

例えば、特定の部門だけが強い発言力を持つ場合、その部門の利益のみが優先されるリスクがあります。しかし、稟議制度を通じて全関係者の意見を収集・考慮することで、組織全体にとって最適な意思決定が行われるようになります。

責任の所在の明確化

稟議プロセスを通じて、意思決定の責任が明確化されます。稟議書に記録された承認履歴により、誰がどのような判断を行ったかが明確になります。これにより、後から問題が発生した場合でも、責任の所在が明確であるため、迅速な対応が可能となります。

また、責任の所在が明確になることで、関係者の意識が高まり、より慎重かつ正確な意思決定が促進されます。これにより、組織全体の業務品質が向上し、信頼性が高まります。

組織内の意思疎通の促進

稟議プロセスを通じて、組織内の意思疎通が促進されます。稟議書を回覧し、関係者全員が意見を述べることで、情報の共有とコミュニケーションが活性化します。これにより、組織全体の連携が強化され、業務の効率が向上します。

例えば、異なる部門間での情報共有が不十分な場合、業務の進行に支障をきたすことがあります。しかし、稟議プロセスを通じて全関係者が情報を共有し、意見を交換することで、業務のスムーズな進行が可能となります。

実行力の向上

事前に合意形成を進めておくことで、実行段階においてストレスなく関係部署を巻き込むことができます。また、事前に懸念事項に対する検討を深めておくことで、実行時に新たに検討を開始することが減り、実行に専念することができるようになります。

稟議については、意思決定までに時間がかかるというネガティブな点にフォーカスされがちですが、このような側面を理解し、経営のスピードを上げていくためには、手続きを簡素化すべきか、逆に合意形成までのプロセスに力を入れていくべきなのか、自社にとって注力すべきはどちらかをしっかりと考えていきましょう。

紙ベースの稟議実行の課題

意思決定スピードの低下

紙ベースの稟議は、意思決定に時間がかかることが多いです。稟議書を物理的に回覧するため、承認までのプロセスが遅延しがちです。これにより、迅速な意思決定が求められる場合に対応が難しくなります。例えば、緊急の対応が必要な場合でも、紙ベースの稟議では迅速な対応ができず、組織の柔軟性が損なわれることがあります。

生産性の低下

紙ベースの稟議は、書類の作成や回覧、保管に多くの時間と労力がかかります。このため、従業員の生産性が低下し、他の重要な業務に集中する時間が減少します。さらに、書類の検索や取り出しに時間がかかることも多く、業務効率が著しく低下することがあります。これにより、組織全体の業務進行が遅れ、成果物の納期に影響を及ぼす可能性もあります。

セキュリティ・ガバナンスのリスク

紙ベースの稟議書は、紛失や盗難、改ざんのリスクがあります。重要な情報が漏洩した場合、組織全体に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、紙ベースの管理では、適切なガバナンスが難しい場合があります。例えば、稟議書の保管場所が不明確であったり、アクセス権限が管理されていなかったりすると、情報漏洩のリスクが高まります。

テレワーク導入の阻害

紙ベースの稟議は、テレワークの導入を阻害します。稟議書の物理的な回覧が必要なため、リモートワークを行う従業員がスムーズに稟議プロセスに参加することが難しくなります。これにより、テレワークを推進する企業にとって、紙ベースの稟議は大きな障害となります。例えば、リモートワーク中の従業員が稟議書にアクセスできず、意思決定プロセスが停滞することがあります。

コストの増大

紙ベースの稟議は、印刷や保管、管理にかかるコストが高くなります。また、物理的な書類の保管スペースが必要となり、オフィスのコストが増大する要因となります。例えば、大量の稟議書を保管するためのファイリングキャビネットや倉庫スペースの確保が必要となり、その分の費用が増加します。これにより、企業の経営資源が非効率に消費されることがあります。

ワークフローシステムを活用した稟議プロセスの解消策

意思決定の迅速化

ワークフローシステムを活用することで、稟議プロセスが電子化され、迅速な意思決定が可能となります。電子稟議書の作成や回覧、承認がリアルタイムで行えるため、意思決定のスピードが向上します。さらにTeamsやLINE WORKSなどのリモートコミュニケーションツールと並行して活用することで、いつでもどこからでも稟議プロセスを実行することができるようになります。これにより、緊急対応が必要な場合でも迅速に意思決定が行われ、組織の柔軟性が向上します。

生産性向上

ワークフローシステムを導入することで、稟議プロセスが効率化され、従業員の生産性が向上します。紙ベースの稟議に比べ、書類の作成や回覧、保管など、単純作業的な時間と労力が削減されるため、他の重要な業務に集中する時間が増えます。これにより、業務全体の効率が向上し、組織の成果も向上します。

見える化

申請・承認の状況を可視化し、データで全体の状況を把握することが可能になります。これによって、業務フローやルールの無理・無駄を発見し、改善につなげることが容易になります。例えば、頻繁に承認が滞っている人を発見して業務配分の見直しにつなげたり、却下が多発している案件については判断基準を事前に明示したりといったアクションが取りやすくなります。

セキュリティ・ガバナンス強化

ワークフローシステムは、電子データの管理によりセキュリティを強化します。アクセス制限やデータの暗号化、変更履歴の追跡などが可能となり、書類の紛失や盗難による情報漏洩や、文書改ざんのリスクを低減します。また、システム上での管理により、適切なガバナンスが実現します。これにより、承認履歴や変更履歴が明確に記録され、意思決定プロセスの透明性が向上します。

さらに、システムは自動的にバックアップを取ることでデータの消失リスクを最小限に抑えます。これにより、予期しないトラブルや災害が発生しても、重要な情報が失われることなく迅速に復旧することが可能です。

柔軟な働き方への対応

ワークフローシステムを活用することで、テレワークなどの柔軟な働き方に対応できます。稟議書の電子化により、場所や時間に制約されることなく、どこからでも稟議プロセスに参加することが可能となります。これにより、リモートワークを推進する企業にとっても、円滑な稟議プロセスが実現します。

例えば、出張先や自宅からでも稟議書の確認や承認ができるため、迅速な意思決定が可能になります。これにより、業務の効率化が図れ、従業員の働きやすさも向上します。

コスト削減

ワークフローシステムを導入することで、紙ベースの稟議にかかる印刷や保管、管理コストを削減できます。また、物理的な書類の保管スペースが不要となるため、オフィスや倉庫のコストも削減されます。これにより、経費の圧縮が図れます。

さらに、電子化により書類の紛失リスクが低減されるため、紛失による再作成の手間やコストも削減されます。総合的に見て、ワークフローシステムの導入はコスト削減に大きく貢献します。

予算管理制度と稟議制度の関係性

予算管理制度の役割

多くの企業では、稟議制度と予算管理制度を相互補完の関係を持つ仕組みとして併せて導入しています。どちらも「会社のお金の利用について会社からの許可を得るもの」という点では共通していますが、双方に異なる役割を持たせることで、事務手続き増加の抑制と経営のスピードアップにつなげることが可能になります。

予算管理制度においては、部署ごとに半期・年間の経費・設備投資の予定を作成し、会社の審査プロセスを経て承認されていきます。これによって会社としても年間の事業計画の策定が可能になるほか、各部署においても行動計画がスムーズに策定されてきます。一方で、長いスパンの計画となるために、精緻化がされていない部分も少なくなく、その間に会社の状況も刻々と変化してしまいます。「予算ありき」でお金を使ってしまっては、ムダな支出が増える要因ともなりかねません。

稟議制度による予算管理制度の補完

稟議では、予算の執行時に改めて会社からの承認・決裁を取り付けることで、既に予算化された案件についても改めて審査を行ったり、予算化されていない件についても実行に移すといった状況に合わせた軌道修正が可能になります。また、お金の使い方についても、精緻化・具体化された計画にて利用金額の総額だけでなく、提供を受ける商品やサービスの単価や数量、品質面まで審査をすることができます。

例えば、新しい機器を導入する場合、その機器の具体的な仕様や機能、価格などを詳細に審査し、最適な選択を行うことができます。これにより、予算の無駄遣いを防ぎ、効率的な資金運用が可能となります。

予算管理制度による稟議制度の補完

すべてのお金の使い道に対して、一つ一つ稟議プロセスを実行していると、手続き件数が膨大になってしまい、重要な案件に議論する時間がなくなってしまったり、会社の実行スピードを著しく低下させる要因になりかねません。このため、稟議の対象としては一定以上の金額のものや、設備投資や契約など長期的な支出につながる性質を持つものに絞り込み、残りは予算管理制度にて承認していくことがスムーズな業務運営のポイントとなります。

例えば、日常的な小額の経費支出や定型的な支出については、あらかじめ設定された予算内で各部門が自主的に管理し、稟議を経ずに処理することができます。これにより、重要な意思決定に集中できる環境が整い、業務の効率化が図れます。

残る課題 – 支払業務の煩雑さ

いずれにしても残るのは、実際に取引先からの請求書や従業員からの立替経費精算書に対する支払いを実行するときの判断の煩雑さです。膨大な件数が発生する中で、どれが予算として計上されているものか、稟議決裁を受けられたものであるのかを判断するのは困難です。一方、これらの判断は量が多い一方で非常に事務的・機械的なものですので、自動化に導くワークフロー・経費精算の一体型のシステムを導入するのが解決のカギとなるでしょう。

稟議プロセスがうまく機能しない原因と対処方法

経営理念や経営戦略が社内に共有されていない

経営理念や経営戦略など、会社の目指す先や基本的な価値観が社員に向けて共有されていない状態では、稟議として起案されてくる案件の経営層の判断基準にはズレが生じやすくなります。結果として、拒否・拒絶すべき案件が増加してしまうかもしれません。そもそも、経営層に上げるまでの道のりも困難となり、様々な部署に回覧するときに、部署の壁を感じながら会話を進めていく場面が増えるでしょう。

解決策:事前に多くのコンテキストを共有する

経営理念、経営戦略をはじめとして、経営層の判断基準や現在の経営状況についての認識合わせをしっかりと行っていきましょう。大きな認識が合わせていけば、個別の提案については最前線の情報・現場の状況を把握している専門部署に任せやすくなり、稟議のプロセスの負担やストレスが小さくなってきます。

稟議制度の形骸化や、弊害の表出

稟議プロセス実行に必要なのは、各部署が会社をリードしようという意識や建設的な意見を出し合う社内風土です。逆に、「何を言ったかよりも誰が言ったか」が尊重されるような社内風土においては、稟議プロセスは形式的なものとなってしまい、多くの人に対して合意を取り付ける行為が単なる業務負担やストレスの増加につながってしまいます。

解決策:社内風土改革

現代社会はVUCAの時代と呼ばれており、変化・進化のスピードが加速しています。このような中、形式面を重んじる社内風土であると、上司や経営層の指示を守ろうとする一方で、自律的な変化が難しくなってきます。稟議制度を導入するという大前提が、既に経営層のみでは会社の詳細を見ることが難しくなっていて、権限移譲が必要であるという考えによるものだと思われますので、稟議制度が形骸化しないようにするためには、まずは社内風土改革を進めていきましょう。

検討課題が多すぎる

意思決定者の時間は有限です。検討課題が多ければ、1つ1つの件に割く時間が少なくなり、決裁待ちの件数が増加することにつながります。これにより、重要な意思決定が遅れる可能性があります。

解決策:稟議案件の絞り込み

予算管理制度と合わせて稟議制度を運用するなどして、稟議として処理しなければならない案件数を適切に絞り込みましょう。例えば、一定以上の金額が関わるものや、長期的な影響を持つ設備投資や契約に限定するなど、重要度やリスクに応じて稟議案件を選別することが必要です。

コミュニケーションの不足

稟議プロセスが円滑に進まない原因の一つに、関係者間のコミュニケーション不足があります。関係者が提案の意図や背景を十分に理解していない場合、承認が得られにくくなります。

解決策:定期的な情報共有と説明会の実施

提案内容やその背景、期待される成果などを関係者にしっかりと伝えるために、定期的な情報共有の場や説明会を実施しましょう。これにより、関係者全員が同じ情報を持ち、意思決定に対する理解を深めることができます。また、質疑応答の時間を設けることで、疑問点や懸念事項を解消しやすくなります。

ジュガールワークフローのおすすめ

ジュガールワークフローは、稟議に特化した機能を充実させ、企業の意思決定プロセスを大幅に効率化するツールです。以下に、その魅力的な機能について詳しく解説します。

稟議の流れ
稟議の流れ

直感的に使えるUI/UX

ジュガールワークフローは、ユーザーが直感的に操作できる洗練されたUI/UXを提供しています。視覚的にわかりやすいデザインとシンプルな操作フローにより、初心者でもすぐに使いこなすことができます。これにより、導入初期のトレーニング時間を大幅に削減し、業務の効率化を即座に実現できます。

エクセルで自由に出力する帳票様式を設定可能

ジュガールワークフローは、稟議書や報告書をエクセル形式で自由にカスタマイズして出力する機能を備えています。企業ごとのフォーマットに対応できるため、既存の業務プロセスを変更することなくスムーズにシステムを導入できます。これにより、各部門やプロジェクトごとに最適な帳票様式を利用でき、業務の一貫性が保たれます。

帳票ビュー承認

入力する側にとってはPCやスマホに特化した画面設計になっていたほうが入力しやすいですが、承認する側にとっては、従来の帳票様式で確認したほうが内容を理解しやすいものです。ジュガールワークフローでは、帳票ビューで承認を行うことができ、紙で運用していた扱いやすさを損なわずにすみます。

組織の予約登録

ジュガールワークフローでは、会社の人事異動や組織変更があった際に、ユーザーや組織情報を事前に予約登録することができます。これにより、変更予定のタイミングで自動的に情報が更新されるため、管理の手間を省くことができます。また、変更に伴う業務の混乱を最小限に抑え、スムーズな組織運営をサポートします。

高度な承認分岐(金額や内容に応じて、承認分岐可能)

ジュガールワークフローは、承認プロセスを高度にカスタマイズできる機能を提供します。稟議の金額や内容に応じて、承認者を自動的に分岐させることが可能です。例えば、高額な支出には上層部の承認が必要となる一方で、少額の経費は部門マネージャーが承認するといった柔軟な設定が可能です。これにより、迅速かつ適切な意思決定が行われます。

スマホアプリ

ジュガールワークフローは、スマートフォンアプリを提供しており、場所を問わずに稟議プロセスを進めることができます。移動中や出張先でも稟議書の確認・承認が可能となり、業務の継続性を確保します。これにより、いつでもどこでも効率的に業務を進めることができます。

LINEWORKS/Teams連携(アプリ内で承認まで実行できる)

ジュガールワークフローは、LINEWORKSやTeamsといったコミュニケーションツールとの連携機能を持っています。利用頻度の高いこれらのメッセージアプリ内で稟議書の通知を受け取り、そのまま承認作業まで完了させることができます。チームメンバーとの連携がスムーズに行われ、稟議プロセスが迅速化されます。

決裁機能:その後の変更は不可

ジュガールワークフローには、決裁後の変更を防ぐ機能が備わっています。一度決裁が下された稟議書に対しては、その後の変更や修正ができないように設定することができます。これにより、意思決定の透明性と信頼性が確保され、重要な決定が変更されるリスクを防ぎます。

操作ログ

ジュガールワークフローは、全ての操作を詳細にログとして記録します。誰がいつ何を行ったかが明確に記録されるため、後からのトラブルシューティングや監査が容易になります。これにより、業務の透明性が高まり、内部統制の強化に寄与します。

API連携:基幹システム等ともすぐに連携構築できる

ジュガールワークフローは、他の基幹システムや業務アプリケーションとのAPI連携を容易に構築できる機能を提供しています。これにより、既存の業務システムとのデータ連携がスムーズに行われ、業務プロセス全体の効率化が図れます。例えば、会計システムや人事システムとの連携により、稟議書のデータを自動的に反映させることができ、手作業による入力ミスを防ぐことができます。

ジュガールワークフローは、これらの充実した機能を通じて、企業の稟議プロセスを大幅に効率化し、業務の透明性と信頼性を高めます。ぜひ、ジュガールワークフローの導入を検討してみてください。

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